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予約時に聞いていない「ウェルカムシャンパン」代金、支払わなくていい?
(RichR / PIXTA)

予約時に聞いていない「ウェルカムシャンパン」代金、支払わなくていい?

お会計で身に覚えのない「ウェルカムシャンパン」代金を請求された——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

●【相談】一言あってしかるべきではないか?

先日、ネットでディナーを予約し、支払い金額が約3万6000円(サービス・席料込み)でした。当日、ウェイターから「ウェルカムシャンパンです」とだけ言われ、頂いたのですが、会計の際に金額が4万円となっていました。「差額の約4000円はなんですか」と聞いたところ、「ウェルカムシャンパン代です」と言われたのです。

ウェルカムシャンパンが別料金なのであれば、一言あってしかるべきです。一杯の値段が4000円であれば、なおさらだと思います。これは詐欺に近いと思うのですが、これは確認しなかったこちらの問題でしょうか。

●【回答・大橋賢也弁護士】売買契約が成立していない

レストランでディナーを食べる契約を、ここでは簡単に「売買契約」と考えて説明します。

売買は、売主と買主が、目的物と代金を特定した上で、「売ります・買います」と合意することで成立します。レストランでディナーを食べるときは、客がメニューの中から食べたいものや飲みたいものを選び、店に注文することで、売買契約が成立します。

今回のケースでは、総額約3万6000円(サービス・席料込み)で、レストランが飲食物を提供するという売買契約が成立していたと考えられます。

問題になっている「ウェルカムシャンパン」は客が注文したものではなく、レストランは事前に「ウェルカムシャンパン代が4千円である」と客に伝えていなかったと考えられます。

したがって、ウェルカムシャンパンについては売買契約が成立していない(売買契約の目的物に含まれていない)ので、レストランは、客に4千円を請求することはできません。

「ウェルカム」という言葉から、無料であろうというイメージがわきやすいですが、あくまでもレストラン用語なので、お店によっては有料の可能性もあります。そこで、トラブルを未然に防止するためにも、その場で有料かどうか確認されることをお勧めします。

プロフィール

大橋 賢也
大橋 賢也(おおはし けんや)弁護士 川崎エスト法律事務所
神奈川県立湘南高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。平成18年弁護士登録。神奈川県弁護士会所属。離婚、相続、成年後見、債務整理、交通事故等、幅広い案件を扱う。一人一人の心に寄り添う頼れるパートナーを目指して、川崎エスト法律事務所を開設。趣味はマラソン。

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