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飼い主もホッ? 最強の闘犬「ピット・ブル」、逃走中に人を噛んだら重過失致傷罪の適用も
ピット・ブル(捕獲されたものとは別の犬です・ホタル / PIXTA)

飼い主もホッ? 最強の闘犬「ピット・ブル」、逃走中に人を噛んだら重過失致傷罪の適用も

千葉県市川市で逃走していた1頭の大型犬「ピット・ブル」が4月7日朝、市内の路上で捕獲された。ケガ人はいなかったという。

報道(4月7日)によると、逃げていたのは体長約130センチ、体重40キロ以上の大型犬「アメリカン・ピット・ブル・テリア」。飼い主が6日、予防接種のため、同市の動物病院に連れてきたが、首輪を外したところ逃げたという。

●世界最強の闘犬が13時間野放しに

ピット・ブルは「世界最強の闘犬」の呼び声も高く、海外では、襲われた子どもの死亡事故も報じられている。

今回の逃走劇は13時間にもわたる。捕まったことで地域住民は安堵しているだろうが、もしも人を噛んでケガをさせていたら、飼い主にはどのような法的責任が生じうるだろうか。ペットをめぐる法律に詳しい石井一旭弁護士に聞いた。

●民事も刑事も法的責任を問われうる

「今回のケースは、動物病院の管理体制や飼い主の関与の程度など、ピット・ブルが逃走した詳しい事情がわからないので、ここでは一般論として、飼い主に過失があるとする前提で解説します。

過失により逃走させてしまうなど、犬の管理が不十分だったことを原因として、犬が人を噛んでしまった場合、民法718条1項により、飼い主の過失を問題にして損害賠償を請求できます。

但書に「動物の種類及び性質に従い相当の注意を持ってその管理をしたとき」の免責規定がありますが、認められることは稀です。また、刑事でも、事情によっては(重)過失致傷罪に問われる可能性もあります」

——ケガの治療費のほかに、噛まれたことがトラウマになったとして慰謝料も認められますか?

「被害者は、加害犬の占有者に対して、ケガの治療費、通院費用や、負傷に対する慰謝料、後遺障害が生じたときはその等級に応じた慰謝料を請求できます。一般的には交通事故の賠償と同様の扱いがとられているようです。

大型犬にいきなり噛まれた場合、深刻なトラウマが生じてしまうことは無理もないと思いますが、トラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまったことに対する慰謝料というのは、客観的な証明も難しく、裁判上請求しても認められにくいのが現状です」

プロフィール

石井 一旭
石井 一旭(いしい かずあき)弁護士 あさひ法律事務所
京都大学法学部、京都大学法科大学院卒業。司法書士有資格者。交通事故・相続・不動産問題等を多く手がける。ペット法学会・ペットの法と政策研究会に所属し、ペットを巡る法律問題についても多くの相談を受けている。

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