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無断で「息子の妻」名義でクレカを作って修羅場に…どんな罪に問われてしまうのか
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無断で「息子の妻」名義でクレカを作って修羅場に…どんな罪に問われてしまうのか

無断で息子の妻名義のクレジットカードを作ったことがバレてしまった——。窮地におちいった女性から「自分はどのような罪になるのか」という相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

女性は息子の妻に無断でクレジットカードを作り、約3年間使用していました。ところが、たまたま息子の妻が新しくカードを申し込んだことで、無断発行がバレてしまいました。

女性はすでにリボ払いを一括で返済しましたが、息子の妻は相当怒っており、警察に被害届を出しました。

果たして女性はどのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。杉浦智彦弁護士に聞きました。

●詐欺罪が成立する

理屈上は、カード会社に対する詐欺罪が成立し、それとともに、紙でカードの申込みをした場合は有印私文書偽造罪、インターネット上で申込みを完結させた場合は私電磁的記録不正作出罪(私文書偽造のデータ版の犯罪)が成立する可能性があります。

詐欺は、他人名義でクレジットカードを申し込む事自体が許されないので、その点を捉えて、カード会社に対する詐欺罪が成立します。

そのため、仮に、その親族に「私の名義でクレジットカードを作ってもいいよ」と言われていたとしても、詐欺罪が成立することになります。また、親族間の詐欺は処罰されないのですが、被害者がカード会社ですので、その点も影響しません。

●警察は事件化するか?

しかしながら、実際に警察が事件を立件するかは別問題です。被害者はカード会社といえども、実質的な被害者はご親族ですし、警察も親族間の紛争に関与したがらないことが多いです。

とくに今回のケースは、すでに支払いも完了させている状況で、実質的な被害もなくなっているとのことですから、警察が事件として取り扱うことは極めて稀ではないかと思われます。

この手の事件で警察が事件として取り扱うのは、繰り返して同じような行動をとっていたり、被害金額が高額であったり、親族間の問題として対処できなくなったと判断するような場合なのではないでしょうか。

仮に警察沙汰にならなかったとしても、息子の妻との信頼関係はすでに崩れてしまっているでしょう。親族の関係は一生つきまといます。相談者様の家庭での居場所はなくなってしまうこと自体、刑罰を受けるよりも厳しい制裁ではないかと思います。

たとえお金に困っていて、かつ事件になる可能性が低くても、このような行動を取るべきではないといえるでしょう。

プロフィール

杉浦 智彦
杉浦 智彦(すぎうら ともひこ)弁護士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所
神奈川県弁護士会所属。刑事弁護と中小企業法務を専門的に取り扱う。刑事事件では、特に身柄の早期解放に定評がある。日本弁護士連合会中小企業法律支援センター事務局員としても活躍。

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