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コロナで「ママ友飲み会」中止、キャンセル料3000円に憤慨「仕込みしてないでしょ」
写真はイメージです(nonpii / PIXTA)

コロナで「ママ友飲み会」中止、キャンセル料3000円に憤慨「仕込みしてないでしょ」

新型コロナウイルスの感染を予防するため、対面での飲み会をしばらく控えていた人も多いだろう。

子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板には、感染者数の増加をみて店をキャンセルした女性が「予約していた飲食店のキャンセル料の定義を教えて」(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3658709)と投稿している。

●当日キャンセル「これからお客さんを入れたら良い」

女性は3カ月に1回のペースで、ママ友10人ほどで集まり飲み会をしている。しばらくは中止していた飲み会を再開することになり、1カ月ほど前に店に予約を入れた。

しかし、感染者数が一時的に増えたため、前日になって飲み会を中止することに。予約は19時からで、当日の11時ごろに電話したが、店からは「もう材料は仕入れて予約も全部断ってるから、キャンセル料は全額払って下さい」と言われた。

女性は「一切の食事もせずに、まだ調理もしていないから、食材も無駄になっていない」と納得がいかない様子。「これからお客さんを入れたら良いだけなのに、キャンセル料1人3000円は詐欺にならないんですか?」と店側の要求を疑問に感じているようだ。

果たして、キャンセル料は支払う必要があるのだろうか。石井龍一弁護士に聞いた。

●予約を入れた時点で契約が締結

——代金を支払う義務はいつ発生するのでしょうか。

飲食店に予約を入れた時点で、客と店との間に飲食契約が締結されたと考えられます。この契約により、店は客に対し、予約された日時に予約人数分の席を確保して、客に飲食サービスを提供する義務を負い、客は店に対し代金を支払う義務を負うことになります。

客が予約をキャンセルするということは、上記の飲食契約に基づく、店の客に対する飲食サービス提供義務の履行を断ることに他なりません。

客側が店側に負っている代金支払義務は、客側の一存で免れることはできません。つまり、キャンセルとは、成立した飲食契約の代金支払義務を客が債務不履行をする、ということになるのです。

●定められたキャンセル料を支払う必要がある

——キャンセル料が決まっていた場合、それを支払う必要がありますか。

契約を債務不履行した側には、相手に対し損害賠償をする義務が生じます。客は、キャンセルによって店に生じた損害を、賠償しなければなりません。

あらかじめキャンセル料が定められている場合は、原則として、定められたキャンセル料を支払う必要があります。このような、あらかじめキャンセル料を定めておくことを「賠償額の予定」といいます。

店側が一般の客に対してキャンセル料を定めるときは、消費者保護の観点から、消費者契約法という法律が適用され、定めることのできるキャンセル料の額は、客側のキャンセルによって店側に「通常生ずる平均的な損害額」を上限とすることとされています。

あらかじめキャンセル料が定められていない場合は、店側が損害の額を立証して、客に請求することになります。

ここで、たとえ当日キャンセルであっても、食材が転用できたといった事情を客側が反証できれば、その分は損害とならないとしてキャンセル料の減額を求めることができると考えられますが、実際上はそのような事情を客側で反証するのは難しいでしょう。

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