2019年10月18日 10時23分

台風19号で結婚式延期、キャンセル料めぐり悲痛な声…支払い義務はあるのか?

台風19号で結婚式延期、キャンセル料めぐり悲痛な声…支払い義務はあるのか?
写真はイメージです(hachinbee / PIXTA)

鉄道の計画運休などで、人の予定を大きく狂わせた台風19号。特に、10月12日に結婚式を予定していた人にとっては、大変な事態になったようです。

ツイッター上では、10月12日の結婚式が延期になった場合のキャンセル料が話題になりました。

延期の場合に、料理代金やケーキ、印刷物、菓子、装花は実費支払いになるというツイートがありました。

また、他にも負担を強いられたという声も。「キャンセル料は、粘りにねばったけど、決して安くはない額を支払わないといけない。今日起きたら静岡県内の在来線すらも全て止まってるんだけどこれでもキャンセル料かかるの?納得いかない。こんな状況で式場やってるんか?」

また、「本日の、結婚式及び披露宴(親族のみ)は昨日の20時くらいまでサロンの方と大揉めしながら、決行の決断しました。キャンセルなら式費用全額とキャンセル料100万超え」と決行を決断をしたという報告もありました。

一方で、延期の際にキャンセル料が無料になったという「神対応」も散見されます。

法的に考えて、台風で結婚式を延期する場合、新郎新婦が費用を払わなければならないのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。

●一般的な契約で考えると、費用負担が発生してしまう

キャンセル料の法的位置付けについては、どう考えればいいのでしょうか。

「新郎新婦にとっては一世一代の大イベントである結婚式ですが、台風で延期する場合に何かしらの費用を支払うべきか否かは、法的な観点から申し上げますと、結局は契約の内容次第ということとなります。

一般的な結婚式の契約では、キャンセル料が発生することが定められており、キャンセル料を負担させないのは例外的な扱いでしょう。

解約に伴うキャンセル料には、事務手数料と損害賠償金の意味合いがあります。延期するとなれば、その日までに式場側が準備したもの等が無駄になるわけですから、式場側としては何かしらの費用を請求したいということで、その旨契約に謳っているでしょう。

この場合、キャンセルをいつにするかによって、費用の額が変わってくるのが通常です。また、仮予約か本予約によっても違いがあるでしょう」

●十分なサービスが提供できない場合は?

今回は強烈な台風で、予定通り実施しようとしても、スタッフが集まらなかったり、食材がそろわなかったりして、式場側の都合で十分なサービスを提供できなかった可能性もあります。そのことが理由で延期になった場合でも、キャンセル料が発生するのでしょうか。

「式場側が本来の債務を履行できないことについて、帰責事由(責められるべき理由)がないのであれば、危険負担の問題となり、お互いに債務を負わない(式場側はサービスの提供をする義務を負わないし、新郎新婦側は代金を支払う義務を負わない)ということとなります(債務者主義)。

台風の問題に当てはめると、新郎新婦側が式を強行したとして、式場側が本来のサービスが提供できないのであれば、式場側の債務不履行(不完全履行)という問題が生じ得ます。ただ、観測史上最大級の台風ということであれば不可抗力ということで式場側に帰責事由がないと判断される可能性もあるのではないでしょうか。その場合、式場側の損害賠償義務も、新郎新婦側の費用負担も発生しないでしょう」

●追加費用なしで延期に応じた方がいいのではないか

結局、式場側はどう対応すべきだったのでしょうか。

「個人的な意見ですが、新郎新婦にとってハレの舞台である結婚式なのですから、式場側としては杓子定規に『契約に謳っているのだからキャンセル料を支払え』などと野暮なことを主張せず、追加費用等なしで延期に応じるなどと応対をされるのがよろしいのではないかと考えます。神対応が話題となれば、結果として当該式場の評判を高める効果も期待できるのではないでしょうか。

最近では、キャンセル料等を補塡するようなサービスを提供する業者もあるようです。かつては想定外と思われていた天変地異も、もはや想定内であるということを肝に銘じ、最大限、費用負担も含め自分の身の安全を守るべきだと思います」

取材協力弁護士

濵門 俊也弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。

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