偽ブランド品の輸入取り締まり規制が10月1日から強化される。
フリマアプリや通販サイトを通じて、個人輸入が盛んとなっている中、「個人使用」の目的であっても、海外事業者から模倣品(コピー品)を輸入した場合、規制対象となるので注意が必要となる。
今回の水際対策の強化は、関税法改正を受けてのもの。輸入しようとした品物が税関で模倣品だと発覚した場合、購入者や輸入者まで罰せられてしまうのか。財務省関税局に聞いた。
●高水準で推移する「コピー品の摘発」
財務省が9月に発表したデータによると、今年上半期に税関が差し止めたコピー商品など知的財産侵害物品の数は1万2519件(点数では40万4684点)にのぼり、11年連続で1万2000件を超えた。
その多くはバッグ、衣類、靴などの海外高級ブランド品で、輸出された地域別では中国から(全体の72.9%)がダントツとなっている。
コピー品のさらなる国内流通の拡大も警戒し、税関では10月から水際取締りが強化される。
規制強化にあたっては、商標法・意匠法の改正により、海外の事業者が郵送で模倣品を持ち込むことが権利侵害にあたるようになった。
これにともなって関税法も改正され、海外の事業者が国内に持ち込む模倣品は「輸入してはならない貨物」として、税関の取締り対象になった。
「個人使用」目的の規制も大きな変化だ。新たな制度においては、海外の事業者が郵送等により日本国内に持ち込む模倣品(商標権又は意匠権を侵害するもの)は、輸入目的が「個人使用」目的であっても輸入できなくなる。
輸入側に事業性がなければ、模倣品を輸入する側に罰則はないとはいえ、だからといって安心はできない。
●コピー品を購入してしまった場合、返金は自分の責任で取り戻す必要がある
財務省関税局の知的財産調査室はこのように指摘する。
「通販サイトやフリマサイトを通じて海外の事業者から模倣品を購入した場合、ニセモノと知らなかったとしても、没収されることになります。
しかし、返金(補償)について税関では対応できないので、購入した通販サイトや店舗にお問い合わせください。怪しい通販サイトやお店の利用にはお気をつけいただくように願います」
仮に、海外の友人から送ってもらった誕生日プレゼントがコピー商品と税関でわかれば、それも没収されてしまうのだろうか。
「規制の対象ではありません。しかし、海外の仕出人に事業性がない証拠や、送付に至った経緯を輸入者が税関に提出して示す必要があります。
たとえば、誕生日プレゼントを贈ることを示したメールのやりとりなどを提出する場合も出てくるでしょう。その他、税関の調査により把握した事実を総合的に勘案して事業性を判断することになります」
なお、海外の旅先で模倣品を購入し、自ら持ち帰ることは新たな規制対象にはならない。もちろん、反復継続的に模倣品を持ち帰ったりしているようなことがあれば、事業性があると判断され、従来通り取締りの対象になる。