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孤独死などが背景? ゴミ捨て場で「多額の現金」発見相次ぐ…届け出た場合の税金問題
画像はイメージです(とんとん / PIXTA)

孤独死などが背景? ゴミ捨て場で「多額の現金」発見相次ぐ…届け出た場合の税金問題

ゴミ集積場で大金を見つけたーー。そんな報道を耳にする機会が増えた。2017年9月21日の日本経済新聞電子版によると、拾得物として届けられた現金の総額は2016年に計約177億円にのぼり、増加傾向にある。背景には、高齢者の孤独死やタンス預金の増加など、社会環境の変化がありうるという。

具体的な大金拾得のケースは以下のようなものだ。2017年8月14日の産経新聞の報道によると、石川県加賀市山代温泉のゴミ集積場で、70代の女性が紙袋に包まれた重箱の中から2000万円を発見。知人が110番したという。

今後も各地で大金の拾得が続くかもしれない。もし今回のように、発見した2000万円を警察に届け出て、お金をもらうことになった場合、どのような税金がどれくらい発生するのだろうか。井上大輔税理士に聞いた。

●一時所得として所得税がかかる

「今回のように、2000万円もの大金を道端で見つけたら、とても驚きますね。

お金を拾ったら警察に届けましょう、ということは皆さんご存知でも、その時に税金がどうなるか、というのは難しい問題です」

実際に税金はどうかかるのか。

「まず、拾った2000万円の持ち主が無事見つかった場合です。

この場合は、お金は持ち主に返されることになります。しかし、遺失物法において、拾った人は持ち主から、遺失物の価格(今回でいえば2000万円)の5%~20%の報労金を受け取ることができます。そのため、100万円~400万円になります。

万が一、持ち主が見つからなかった場合には、拾った人が遺失物(2000万円)を受け取ることができます。

このようにして得ることとなったお金に、税金はかかるでしょうか。

結論としては、一時所得として所得税がかかります。受け取った金額が50万円以下であれば、特別控除額(50万円)があるので、確定申告は必要ですが税金はゼロになります。ただし、今回のように、100万円以上のお金を頂くということになると、収入から特別控除額とその収入を得るために必要な経費を引き、残った金額を半分に割ったものが課税対象となります。

税率は給与所得などと合算した後に累進課税となり、仮に持ち主が見つからずに2000万円を受け取った場合には、給与などの他の所得がなかった場合171万6800円の税金がかかります。(平成30年の場合の所得税)

これに加えて、復興特別所得税や住民税がかかることになりますし、国民健康保険料が増額になることもあります。

もしも税金を支払うのが嫌だ!として、ネコババをしてしまうと、遺失物横領罪罪などになってしまうので注意してください。

きちんと警察に届けて、お金を受け取ったら確定申告もする、というのが大切ですね」

【取材協力税理士】

井上 大輔(いのうえ・だいすけ)公認会計士・税理士

公認会計士・税理士として、会計コンサルティング・税務など多数の業務に従事しています。お客様の立場にたって、税金をわかりやすいものへ、会計の力で経営を飛躍させるため、様々なお客様のパートナーであり続けます!

事務所名   : 港公認会計士・税理士事務所

事務所URL:https://www.minato-cpatax.com/{target=_blank}

(弁護士ドットコムニュース)

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