勤務先のキャバ嬢との恋が、オーナーにばれてしまった――。キャバクラのスタッフとして働く男性から、そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられた。
投稿者によると、オーナーは「うちの商品に手をだした」と激怒。「店に損害が発生している」として、賠償金を請求されているという。
恋愛は個人の自由と思えるが、キャバ嬢とつきあったことを理由にオーナーが損害賠償を請求した場合、スタッフは支払う必要があるのだろうか。松原祥文弁護士に聞いた。
●「恋愛は人間として自然な感情・行動」
「結論としては、損害賠償を支払う必要はないと思います」
松原弁護士はこのように述べる。
「店側としては、キャバ嬢と交際した男性に対して、不法行為責任(民法709条)として、損害賠償を請求することが考えられます。
しかし、恋愛は人間として自然な感情・行動ですから、キャバ嬢と恋愛することは、そもそも違法とはいえません。
また、キャバ嬢が男性と交際していることで、客足の減少につながるということは通常考えられません。そのため、店側に損害が発生しているとはいえないでしょう。
このように、そもそも恋愛が違法ではないという点からも、損害が発生していないという点からも、不法行為責任が成立することはないといえるでしょう」
●「恋愛禁止ルール」は公序良俗に反する可能性がある
店が「恋愛禁止」というルールを設けていた場合はどうだろう。
「恋愛禁止というルールが、雇用契約の内容となっていた場合、恋愛をすると『債務不履行』ということになります。
ただし、恋愛という人間として当然の行為を規制することは、権利濫用や公序良俗違反になる可能性があります。
その場合、ルールに違反して恋愛をしたとしても、そのルール自体が無効となるので、債務不履行になりません。したがって、損害賠償責任を負うことはないでしょう」
松原弁護士はこのように述べていた。