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2021年09月07日 21時35分

「お布施が高い」檀家からのクレーム、後継者巡る激しい紛争…寺院トラブルの真相

「お布施が高い」檀家からのクレーム、後継者巡る激しい紛争…寺院トラブルの真相

6月からスタートした西口竜司弁護士の連載コラム「熱血・西口弁護士のなんでやねん事件簿」。弁護士のあるある話から、実際にどうやって弁護士に相談すれば良いのかまで、弁護士を身近に感じてもらえるような内容をお届けします。

今回は西口弁護士がよく扱う「寺院のトラブル」について、どのようなものがあるのか答えてもらいました。

●寺院にも様々なトラブルが

今回は、弁護士があまり扱わない分野である寺院法務について書かせて頂きます。寺院のトラブルと言われても、あまりイメージが湧かないと思います。寺院の内情を知る機会もないし、ニュースで見ることも少ないですからね。

そもそも、私がなぜ寺院問題にかかわるようになったのか。簡単に言えば、ある出会いからです。

今からちょうど8年前、ある僧侶の方からFacebookに友達申請と「寺院をサポートしてくれる弁護士を探しています」というメッセージを頂きました。実際に聞いてみると、寺院にも一般社会と同じように様々なトラブルがありました。

●後継者を巡る激しい紛争

例えば、寺院の承継を巡る紛争です。

具体的には、寺院に後継者候補が複数名いる場合、後継者を巡って激しい紛争が起きます。一方、地方にいくと寺院の後継者不足が顕著になっています。そのため、養子を迎えて後継候補にするのですが、住職と人間関係が上手くトラブルが発生することがあります。後継者にする約束だったのにいつまで経っても住職の地位を譲ってもらえないというような事例です。

こうしたケースで、私は仲介者という形で、上手く寺院が承継できるようにサポートしています。さすがに訴訟に至るような事例はありませんでしたが、檀家を巻き込んだ激しい争いになることがありました。寺院の方でもこうした問題を弁護士に依頼できるといった感覚はないようで、多くは本山や寺院が所属している地方組織が仲介する場合が多いようです。

●檀家からのクレーム対応も

その他の寺院トラブルといえば、離檀(檀家をやめること)を巡る問題、寺院同士のいがみ合い、檀家からのクレーム対応、隣家との境界問題など、枚挙に暇がありません。

この中でも、檀家からのクレームとは何かと思った方もいるかもしれません。あまり使いたくない言葉ですが、「坊主丸儲け」という言葉があります。この言葉は法律的に間違っているのですが、一般の方からすれば、寺院にお布施をしたら住職の懐にお金が入ったように思われ、それが税金の対象にならないのでお坊さんがお金儲けしているというイメージをもたれるということです。

しかし、法律上はお布施を渡せば、これは宗教法人である寺院に入ります。これは宗教上の行為であり、法人税がかかりません。そして、住職は、寺院から給与が支給され、給与には所得税が課せられます。したがって、お布施を渡しただけで丸々住職個人がもうけるわけではないのです。

こうした誤解が生じていることから、檀家としての費用を納めず、寺院との間で金銭トラブルが起こることもあります。

また、檀家から住職に対し、寺院運営について文句を言われる場合もあるのです。例えば、「本堂が汚いから掃除しろ」、「お布施が高い」、「寺院の門が締まっているので、入れない」、「もっと早起きして読経して欲しい」等です。挙げていけばきりがありません。鐘の音がうるさいという相談もありましたね。

最近、進歩的な寺院では、寺院の会計を開示して檀家の理解を得ているという話も聞きます。私も寺院の皆さまには会計を明確にするようお願いしています。会計を明確にすることで、修繕費用のお願いがしやすくなります。

●寺院と士業は相性がいい

寺院のサポート業務は他にもあります。法律を守って頂くようにお願いするだけでなく、例えば、寺院で終活セミナーを実施することにより、檀家離れを予防したりしています。

実は寺院と士業は相性がいいのです。住職は法事で定期的に檀家回りをしています。檀家の家族構成などを知り得る立場にあり、様々な相談が寄せられます。

中には法的問題も多く、士業に仕事をお願いすれば檀家も助かりますし、結果として住職に対する信頼も高まるのです。私も過去に相続や交通事故案件などを住職からお願いされたことがあります。

もっとも、寺院法務は簡単ではありません。言葉が難しく、慣れるまで大変です。例えば、宗派も多数あり、日蓮宗では上人様、真言宗系では僧正様というように僧侶の呼称も宗派によって全然違います。しかも、経典も全然違います。宗派を混同してしまうと、印象が悪くなってしまいます。寺院と関わるにあたりかなりの数の仏教の本を読みました。それでも分からないことばかりです。

色々と書いてきましたが、寺院問題を扱う弁護士はまだまだ少ないのが現状です。一緒にやって頂ける方を探しています。私事ではありますが、寺院法務の入門書がもうすぐ出版されますので参考にしてもらえると嬉しいです。

取材協力弁護士

西口 竜司弁護士
1973年9月生まれ大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。

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