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全国初、大阪弁護士会が「犯罪被害者」に弁護士無料派遣、「外出困難」な状況にも対応
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全国初、大阪弁護士会が「犯罪被害者」に弁護士無料派遣、「外出困難」な状況にも対応

大阪弁護士会は10月3日から、犯罪被害者に弁護士を無料派遣する制度(犯罪被害者派遣弁護士制度)を始めた。犯罪の「加害者」を対象にした当番弁護士制度は全国の弁護士会が行っているが、「被害者」に弁護士を派遣する試みは全国で初。

大阪弁護士会副会長の田上智子弁護士は、「大切な方を殺害されたご遺族や、性被害の被害者などの犯罪被害者は、心理的なショックから、弁護士に相談に行くこともままならず、孤立感を深めやすい。この制度を通し、弁護士を活用してほしい」と狙いを語る。

対象となるのは、窃盗、詐欺などの財産犯を除く犯罪被害者と、その同居する親族だ。大阪弁護士会に連絡すると、無料で弁護士が派遣される。無料派遣は1回のみ。

●「重大な被害を被った方は、外に出るのも困難な状況」

田上弁護士によれば、犯罪被害者は「刑事事件の手続きはどのように進んでいくのか」「被害者のプライバシーは守ってもらえるのか」「(手続きの中で)自分がないがしろにされているのではないか」といった不安や不信感を抱えやすい。

従来も電話相談を行ってきたが、面談による相談をするためには、弁護士会や法律事務所などへ被害者自らが出向く必要があった。しかし、「重大な被害を被った方は、外出することすら困難になる」(田上弁護士)。そこで、犯罪被害者派遣弁護士制度では「病院や警察など、被害者が『ここなら大丈夫』と思える場所まで弁護士が伺います。いわば被害者のための当番弁護士制度といえるでしょう」(同)。

また、犯罪被害者は事件被害の苦しみに加え、経済的にも厳しい状況に置かれることがある。しかし、被害のショックから徐々に立ち直る中で、賠償について考えられるようになった時には、すでに事件発生から時間が経っていることも多い。

その一方で、「加害者は自分の処分が決まるまでは、被害者への補償にも熱心でも、処分が定まると補償への意欲が低下する可能性がある」(田上弁護士)。そこで、判決が下りる前の早期から、弁護士を介入させることで、加害者からの賠償を得られる効果も期待できるそうだ。

大阪弁護士会が掲げる2016年度のキャッチフレーズは「あなたを一人にしない 弁護士があなたのもとへ」だ。今回の取り組みはその一環だという。

(弁護士ドットコムニュース)

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