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元草津町議の有罪確定、期限までに控訴なく 黒岩町長「ひどい冤罪事件だった」
裁判があった前橋地裁(2025年9月/群馬県前橋市/弁護士ドットコム撮影)

元草津町議の有罪確定、期限までに控訴なく 黒岩町長「ひどい冤罪事件だった」

群馬県草津町の黒岩信忠町長(78)と肉体関係を持ったと虚偽の告発をしたとして、名誉毀損と虚偽告訴の罪に問われた元草津町議、新井祥子氏の有罪判決(懲役2年、執行猶予5年)が確定した。

前橋地裁への取材でわかった。検察側、弁護側の双方が期限の10月14日までに控訴しなかったという。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

●民事、刑事ともに「わいせつ行為なかった」司法判断が確定

事件をめぐっては、新井氏に対して、黒岩町長への165万円の損害賠償を命じた民事裁判の判決もすでに確定しており、民事・刑事の両面で「わいせつ行為はなかった」とする司法判断が固まった。

判決などによると、新井氏はライターの男性と共謀し、黒岩町長の名誉を傷つけようと考え、2019年11月11日ごろ、「町長室にて町長と肉体関係をもちました」などと記載した電子書籍をキンドルストアで販売。不特定多数の人が閲覧できる状態にし、黒岩町長の名誉を毀損した。

また、2021年12月13日には、黒岩町長から強制わいせつの被害を受けていないにもかかわらず、前橋地検に対し「2015年1月8日に町長室で黒岩町長から胸や陰部を触れるなどのわいせつ行為を受けた」という虚偽の内容の告訴状を提出した。

これらの行為から、名誉毀損罪と虚偽告訴罪で在宅起訴された。

画像タイトル 虚偽の性被害告発の経緯をまとめた表(弁護士ドットコムニュース作成)

前橋地裁(山下博司裁判長)は9月29日の判決で、新井氏が黒岩町長と面会した際に録音していた音声データにわいせつ行為がおこなわれたことをうかがわせる音声がないことを踏まえ、「黒岩町長が被告人に対してわいせつ行為をおこなっていないとの事実が認められる」と指摘。

「被告人は、町長からわいせつ行為をされたとの話が真実であるかのように装って告訴状を提出したのであり、捜査機関の捜査を誤らせる危険性を生じさせた悪質なものである」と非難した。

一方で、一連の事件が報道されるなどして、新井氏が相応の社会的制裁を受けていることなどを考慮して5年間の執行猶予を付けるのが相当であると判断した。

●黒岩町長「ホッとしたがひどい冤罪事件だった」

新井氏の有罪判決確定を受け、黒岩町長は弁護士ドットコムニュースの取材に次のようにコメントした。

「刑事、民事とも判決が確定して、ホッとしております。それにしてもひどい冤罪事件だったと思います。報道のあり方に問題があった事件です」

画像タイトル 新井氏が性被害を受けたとする虚偽の告白で、現場とされた町長室(2024年5月28日、草津町役場の町長室で、弁護士ドットコムニュース撮影)

黒岩町長によると、騒動が起きた当時、黒岩町長や草津町を批判した団体の関係者が10月15日に草津町を訪れ、謝罪する予定だという。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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