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「最上あいの二の舞にしてやるからな」女性配信者に何度も「犯罪予告」…ライバー殺害事件で浮かび上がる「リスク」
ある女性配信者へのコメント(Xの投稿より)

「最上あいの二の舞にしてやるからな」女性配信者に何度も「犯罪予告」…ライバー殺害事件で浮かび上がる「リスク」

東京都新宿区の路上で3月11日、動画を配信していた最上あいさんが、男に刺されて死亡した事件で、配信をしている人たちに波紋が広がっています。

事件直後には、動画配信サービス「ニコニコ生放送」で配信していた女性配信者に対し、「最上あいの二の舞にしてやるからな覚悟しろ」といったコメントが何度も投稿されました。

この女性は「スーパーに行く時もみんなに見られてる気がして怖い」などと話しており、「最上あいの二の舞に」といったコメントを目にして、半泣きになる場面もみられました。

このコメントについて、別のリスナーからはXに「これを配信者が通報すると更なる恨みを買う リスナーが通報しても即座に対応されない」といった投稿があり、対応の難しさも浮かび上がります。

こうした実際の殺人事件を再現するかのような投稿に法的な問題はないのでしょうか。

●脅迫罪にあたる可能性がある

問題のコメントは、脅迫罪(刑法222条1項、2年以下の懲役または30万円以下の罰金)にあたる可能性があります。

まず、「脅迫」とは、「生命、身体、自由、名誉又は財産」に対し「害を加える旨を告知」することをいいます。

また、他人を畏怖(「いふ」。おびえさせること)させるのに足りる程度のものでなければならないとされます。

今回のケースでは、動画配信中に、「最上あいの二の舞にしてあげるからな覚悟しろカス」といった書き込みがされたとのことです。

たしかに、コメントでは「殺す」という言葉は一切使われていません。

しかし、「最上あい」というのは、現在多くの報道がなされている、高田馬場駅付近でナイフで刺された配信者のことを意味していると考えられます。

「二の舞」という表現も、事件の報道を踏まえて考えれば、ナイフなどでの殺害を意味すると捉えるのが自然でしょう。

そうすると、このコメントは、動画の配信者の生命に危害を加える旨の告知をした、と評価することが自然でしょう。

●現実に刺される危険性を感じるコメント

次に、このコメントは、配信者を畏怖させるのに十分足りるものといえます。

最上あい氏の事件はつい先日のことであり、現在、この事件が広く報道されている状況です。模倣犯のような者が現れて、この書き込みのとおり実際に事件を起こす可能性を否定は出来ません。

また、コメントをされた配信者は、動画配信者として活動しており、若い女性であるという点も最上あい氏と共通しています。このような状況であれば、通常は、実際にナイフなどで刺されるのではないかと感じ、大変な恐怖を覚えるでしょう。

したがって、「最上あいの二の舞にしてあげるからな覚悟しろカス」というコメントは、脅迫罪における「脅迫」にあたるといえます。

●早めに通報を

近年、こういったインターネット上での誹謗中傷や脅迫等の事例は増加傾向にあるようです。

このようなコメントは、悪ふざけかもしれませんし、本気かもしれません。しかし、本ケースは殺害予告とも取れる内容であり、こういった事例の中でもかなり深刻な部類と思われ、危険性が否定できません。早く警察に通報するのが良いでしょう。

最上あい氏の事件では容疑者が逮捕されていますが、事件が起こったばかりということもありますから、警察が動いてくれる可能性もそれなりに高いと思われます。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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