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袴田さん支援のバッジ、レインボー柄靴下で裁判傍聴できず…「法廷警察権の違法な行使」国を提訴 東京地裁
裁判傍聴時に一部の文字や柄を見えないようにさせられたパーカーや靴下を手にする原告の清水さん(左)と鈴木さん(2024年11月13日、東京・霞が関の司法記者クラブで、弁護士ドットコムニュース撮影)

袴田さん支援のバッジ、レインボー柄靴下で裁判傍聴できず…「法廷警察権の違法な行使」国を提訴 東京地裁

裁判所の職務執行を妨害した者などに法廷からの退出を命じられる「法廷警察権」(裁判所法71条2項)をめぐり、静岡県一家4人殺害事件で無罪が確定した袴田巌さんの再審で入廷を拒まれた市民ら3人が11月13日、違法な権利行使により精神的苦痛を受けたとして国に計330万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提訴した。

●パーカーの「HAKAMADA」部分をテープで隠す

提訴したのは、袴田巌さんを支援している静岡県浜松市の清水一人さん、袴田さんの主任弁護人を務める小川秀世弁護士、性的マイノリティの人権運動に関わる明治大学教授の鈴木賢さんーーの3人。

訴状によると、清水さんは今年4月24日にあった袴田さんの再審の裁判を傍聴しようとしたところ、静岡地裁の國井恒志裁判長の指示を受けた裁判所職員から、「FREE HAKAMADA」と文字が入ったバーカーや支援者が作ったバッジ(直径約2センチ)を身につけたままでは入廷できないという説明を受けた。

清水さんはバッジを取り外し、パーカーの「HAKAMADA」部分に養生テープを重ねて張って文字が見えないようにさせられたという。

小川弁護士は再審公判の第1回期日からバッジをつけて弁護活動をしていたが、4月24日の公判で國井裁判長からバッジを取り外すように命じられ、次回以降の裁判ではバッジを着用しないよう求められた。

鈴木さんは2023年6月8日に福岡地裁であった同性婚訴訟の判決言い渡しの裁判を傍聴する際、半ズボンとレインボー柄のある靴下を着用していたところ、上田洋幸裁判長の指示でレインボー柄が見えなくなるよう命じられた。

また、3人はともに、入廷を拒まれる必要性や理由などについて裁判長から何も具体的な説明を受けずに指示されたという。

画像タイトル 清水さんや小川弁護士が裁判長から外すように命じられた袴田巌さんの支援者制作のバッジ(直径は約2センチ)

●裁判所法71条とは?

裁判所法71条は法廷の秩序維持について以下のように定めている。

法廷における秩序の維持は、裁判長又は開廷をした一人の裁判官がこれを行う。

②裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における裁判所の職務の執行を妨げ、又は不当な行状をする者に対し、退廷を命じ、その他法廷における秩序を維持するのに必要な事項を命じ、又は処置を執ることができる。

原告側は、今回の裁判所の対応は裁判所法71条2項が規定する「法廷警察権」の行使であるとした上で、3人の行為は「法廷における裁判所の職務の執行を妨げる行為、または不当な行状のいずれにも該当しない」として、彼らに対する裁判所の対応は法廷警察権の行使要件を満たさずに違法であると訴えている。

画像タイトル 「法廷警察権を行使する際の基準を示してほしい」と話す代理人の亀石弁護士(左)と水野弁護士

●代理人「どんな基準があるのかを示して」

提訴後に記者会見を開いた代理人の亀石倫子弁護士は「これまでも法廷警察権が問題にされた裁判はあるが、今回の裁判の特殊性は3つの事案を取り上げているところ。法廷警察権は裁判長の権限で、裁判長によって判断がまちまちだが、それでいいのか。今回の訴訟で、一体どのような基準があるのかを示してほしい」と話した。

鈴木さんは「私が行った裁判は判決言い渡し期日で判決要旨が読み上げられるだけなので、レインボー柄の靴下のまま入廷することが法廷の秩序を乱すとは到底思えない。裁判長が不必要な規制をしていて、法廷警察権の行使が恣意的に行われている」と述べた。

清水さんは「再審で無罪判決が出たのはよかったが、こういった法廷警察権行使の違法性や、裁判を傍聴する権利を狭めてきたことはやっぱり問題にしていかなくちゃいけない。それで提訴することにした」と語った。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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