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歩道のガードレールに、自転車の鍵をかける「地球ロック」  法的問題は?
歩道に停められた自転車やキックボードは多い(2023年9月、弁護士ドットコムニュース)

歩道のガードレールに、自転車の鍵をかける「地球ロック」  法的問題は?

自転車や電動キックボードの人気の高まりで、所有者たちを悩ます駐輪問題。駐輪場がない人の中には、盗難を恐れるあまり、歩道のガードレールに直接ワイヤー錠やチェーンロックをとめてしまう猛者たちもいる。こうした行為をネットでは「地球ロック」と呼ぶこともあるようだ。

駐輪場などの鉄柱やガードレールに固定する「地球ロック」は防犯対策として推奨されてもいるが、人の往来が活発な歩道上では、迷惑極まりない行為にも感じられる。

スーパーや飲食店の前に短時間停めるだけでない。東京・港区内では、おそらく自宅や職場近くなのだろうか、連日、長時間にわたって停められているとみられる「地球ロック」の自転車やキックボードが散見される。駅周辺の歩道にも、主人の帰りを待つ自転車が「地球ロック」されて半日以上、停められていることもある。

画像タイトル 地球ロックされた自転車やキックボード

こうした行為に法的問題はないのだろうか。鬼沢健士弁護士に聞いた。

●歩道上の「地球ロック」は道交法違反か?

——歩道のガードレールに自転車やキックボードを「地球ロック」(ワイヤー錠などで鍵をかけてしまう行為)は、道交法などに違反していないのでしょうか?

自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律の第12条2項自転車等の利用者の責務では「自転車等を利用する者は、自転車等駐車場以外の場所に自転車等を放置することのないように努めなければならない。」とされています。そして、ガードレールは道路交通法上、道路の附属物にあたり、自転車等駐車場にあたらないことは明らかです。そのため歩道のガードレールにロックする行為は同法に反します。

——迷惑だと感じた人が、歩道上の地球ロックの自転車をむりやり移動させる(ロックを破壊するなど)ことは法律違反となってしまうのでしょうか

いくら路上に停めていて迷惑だと感じていても他人のロックを破壊する行為は、他人の物を壊すという行為には違いありませんので、器物損壊罪が成立します。法的手続によらずして自身の被害を回復する自力救済は原則として認められていないのです。

——違法駐輪をされた側にとっては、理不尽にも思えます

無断駐車、無断駐輪については「する側」にペナルティがほとんどない反面、「される側」の迷惑は極めて大きいという理不尽が存在します。法律の整備が必要でしょう。

プロフィール

鬼沢 健士
鬼沢 健士(おにざわ たけし)弁護士 じょうばん法律事務所
詐欺サイト(出会い系、支援金、サクラサイト)・副業詐欺被害救済、不当解雇問題、交通事故を取り扱う。積極的に着手金無料で受任している。

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