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AV新法の「違憲性」初判断へ 映像制作会社の男性経営者に「懲役2年」求刑、9月判決
東京地裁(PIXSTAR / PIXTA)

AV新法の「違憲性」初判断へ 映像制作会社の男性経営者に「懲役2年」求刑、9月判決

アダルトビデオを撮影して、インターネットに公開・販売するにあたり、AV出演被害防止・救済法(いわゆるAV新法)で定められた契約書類を出演者に提供しなかったなどとして、同法違反などの罪に問われた男性被告人の裁判は6月19日、東京地裁で結審した。

検察側は懲役2年・罰金計180万円を求刑。弁護側は「同法の規定は違憲である」として無罪を主張した。AV新法違反が初めて問われる刑事事件の判決は、今年9月に言い渡される。

⚫︎「FC2での販売に必要な契約書類は用意していた」と弁解

映像制作会社経営の男性は、2016年から2022年にかけて29本の無修正動画を動画販売サイト「FC2コンテンツマーケット」にアップロードして販売し(わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪)、2022年9月に出演した女性3人に法定の契約書などを交付しなかった(AV新法違反罪)とされる。

男性は起訴事実を認めたうえで、今年5月の被告人質問では、無修正作品に手を出した理由をモザイク編集作業の手間を減らす「時間短縮」などと説明した。海外サーバの利用については「問題にならないという認識だった」とも述べた。

また、AV新法違反に問われた起訴事実については、FC2側から求められる所定の書類を作成し、提示していたと弁解している。出演した女性らは「家族に見つかりたくない」などの理由から書類を持ち帰らなかったという。

「新法の勉強不足だった。売上が先延ばしになることがあって困るからおこなってしまった。また撮影・販売するにしても法のルールを守りたい。私のせいで適法に制作している業界の方に迷惑をかけて申し訳ない」(男性)

⚫️憲法違反はどのように判断されるのか

AV新法は公布翌日の2022年6月23日に施行された(罰則規定は同年7月12日)。契約・撮影・公表まで計5カ月空け、出演者は期間中に契約を解除できる。弁護側は、同法の各規定は、出演者やメーカーの「職業選択の自由」を侵害するとして、違憲無効を主張した。

違憲が認められなかった場合でも、「法を遵守したとしても、実質的に出演者やメーカーは公布後5カ月の期間は収入を得る機会がなく、まさに職業選択の自由を失われたと言える」として、突如として強度な制約がなされた期間中の行為も罪に問われるべきではないと訴えた。

弁護側の主張には、契約書類はあまりに過度な記載を求められるもので、必要性や相当性を欠いているとの点も含まれる。

検察側は「同法は合憲であることは明らかだ」とし、出演者保護を軽視していると指摘した。

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