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ファスト映画で100万再生、投稿者が告白「違法と知らず」「非日常系の作品が向いてる」
ファスト映画を投稿していた男性(2022年8月1日/弁護士ドットコムニュース)

ファスト映画で100万再生、投稿者が告白「違法と知らず」「非日常系の作品が向いてる」

「ファスト映画」を作成し、YouTubeに投稿していた20代の男性(岡山県在住)が8月1日、メディアの合同取材に応じた。

男性は「自分でも作ってみたいという気持ちが一番だった」など、身勝手な犯行に手を染めた理由を語った。

映画会社側は投稿していた男性を特定したが、収益化していなかったことや迅速な謝罪を受けたこと、また一定の賠償を約束したことから、刑事事件化を見送った。

●ファスト映画投稿者に有罪判決も

ファスト映画をめぐっては2021年、映画会社に許可なくYouTubeに投稿し、広告収入を得たとして、著作権違反法違反で逮捕・起訴された3人に、懲役2年(執行猶予4年)・罰金200万円などの有罪判決が言い渡されている。

この事件で、一般社団法人「コンテンツ海外流通促進機構(CODA)」に加盟する東宝や日活など13社は今年5月、投稿者を相手取り、5億円の損害賠償をもとめる訴訟を起こした。

CODAでは、上記事件のほかにも、ファスト映画の取り締まりをすすめ、複数の投稿者を特定している。CODA側代理人の中島博之弁護士によれば、今回の合同取材を受けることになった男性と映画会社との間で、7月中にも合意があった。

守秘義務があるため、その内容は明らかにされなかったが、男性は都内で複数のメディアからの約1時間に及ぶ取材に答えた。

●『告白』のファスト動画を自分も作ってみたい

取材に応じた男性は、仕事のある社会人だ。コロナ禍の前は、映画館に月に2〜3回足を運ぶほどの「映画好き」と自身を紹介する。

ファスト映画の制作、投稿は自宅で単独でおこなった。邦画を対象として「10分程度の動画を10本弱」作り、「あらすじシアター」などの名称の動画チャンネルで配信したという。

作ろうとしたきっかけもまた「ファスト映画」だった。

「『告白』(中島哲也監督)という邦画のファスト映画を拝見した。観たことのない映画だったが、その作りに衝撃を受け、映画をすごく観たくなった。改めて映画を3回ほど視聴する中で、動画作りは趣味でもあるし、自分でも作れないかと思った」

『告白』の映像は違法アップロードされているものから入手し、切り貼りし、音声と字幕を付け、初めて投稿したのが2020年2月だったという。

●100万再生も…夜釣りの最中にあわてて削除

動画をアップするだけで100万再生を超えた。視聴数は1万に満たないものもあれば、50万再生に届くものもあったが、この『告白のファスト映画』がもっともヒットした。

「何本か作って再生数が伸びる中で作る意欲が途中で途絶えた。収益が上がっていなかったので、再生されたことで満足していた。コメントもたくさんついたが、中身は読んでいない」

そのうち、ファスト映画の逮捕者が出たというニュースが流れ、すぐに自身のファスト映画を削除したという。

「夜、魚釣りをしているときにケータイでニュースを見た瞬間に消しました」

自宅のインターネット回線は母親名義で契約していたため、CODA側から著作権侵害を指摘する書面は母親宛てに届いた。

「すぐ勘づいて、ヤバいなという感情になった。母親には、逮捕者が出るようないけないことで、動画を消しとったけど、こうやって書面がきたと説明した。母親からは、人に迷惑をかけたのなら誠心誠意対応しろと」

こうなるまで、著作権については、映像を丸々コピーするのが違法だという程度の知識はあった。

しかし、自身の行為が著作権侵害にあたるということや、投稿すると特定されること、ファスト映画でネタバレすれば映画を観なくなる人が出るということ。それらすべてが「わからなかった」という。

特定されて、場合によっては刑事事件の被疑者となりかねない立場に置かれたことで、ようやく自身の犯した罪に気づいたそうだ。

●何かあって初めて違法だとわかる人が多いと指摘

「著作権のことを何も気にしなかったし、知ろうとしなかったことが恥ずかしい。ただ、現在進行系でファスト映画を投稿している人は、知るきっかけもないと思う。知らなかったじゃ済まないなと伝えたい。

自分はファスト映画化されたものを見て、いいものを見れたという感覚になってしまった。今思い返せば、権利者をまったく考えてなかったので申し訳ない。今だから気づけたことだと思う。

自分が言い訳していることも自覚している。ネタバレについても、取り返しがつかないと今ならわかる。すごいという感情だけで安易なことをしたことは権利者に何より申し訳ない」

●インパクトに富んだシーンの作品が「ファスト映画」向き

ファスト映画に加工するという観点で選ぶのは「非日常的なものでグロ、エロなどインパクトのあるシーンがあるもの。人が死んだりするようなもの。恋愛モノやドキュメンタリーは不向きだと思う」

自身が手がけたファスト映画もほとんどがその条件に該当するという。

『告白』 『悪の経典』 『カイジ 人生逆転ゲーム』 『神さまの言うとおり』など…。

1本のファスト映画をつくるのに「何日もかからない」と話す。

男性は動画制作が元々趣味で、自分でもできるかという好奇心が主な理由であるかのように説明した。著作権侵害という違法行為である認識もなかったと繰り返す。だが、逮捕のニュースを見て動画をすぐ消したり、申請は弾かれたものの収益化を試そうとしてみたり、その言動を鵜呑みにしにくい事情もうかがえた。

「自分は映画館で観る映画が好きだから、ネタバレは気にしません。でも、多くの人はやっぱネタバレしたら映画観ないですよね」

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