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遠隔操作事件「検察と被告人の全面対決に」 落合洋司弁護士は「起訴」をどう見たか

遠隔操作事件「検察と被告人の全面対決に」 落合洋司弁護士は「起訴」をどう見たか

パソコン遠隔操作事件で、東京地方検察庁は2013年3月22日、逮捕・勾留されていた片山祐輔被告人を起訴した。片山被告人は、他人のパソコンを遠隔操作して、旅客機を爆破するという予告を送りつけたとしてハイジャック防止法違反(航空機の運航阻害)など3つの罪に問われている。

片山被告人は2月10日に逮捕されたあと、一貫して事件への関与を否認してきた。弁護人の佐藤博史弁護士も無罪を主張する考えを明らかにしており、検察が有罪を立証できるか、注目されている。起訴を受け、事件の舞台は法廷に移るが、公判の展開をどのように見ていけばよいのだろうか。

この事件で「真犯人」を名乗る人物から犯行声明のメールを送られた一人であり、元検事として警察の捜査の内情をよく知る落合洋司弁護士に今後のポイントを聞いた。

●「今後とも、慎重に事件を見る必要がある」

――東京地方検察庁の起訴をどのように見ていらっしゃいますか?

「起訴が、具体的にどういう証拠に基づいてされたのかがわからないため、その当否を直ちには判断しかねますが、これまでの捜査経緯――誤認逮捕を繰り返して国民の厳しい批判を浴び、信頼を大きく損ねた――から見て、特に検察庁は相当慎重に捜査に臨んだはずです。状況証拠からはクロだからちょっと試しにやってみようか、といった程度の起訴ではないという推測は成り立ちます。

起訴にあたっては、『決め手』になる、被告人と犯行をダイレクトに結び付ける証拠がなければならない、と考えられたはずで、繰り返し報道されてきているような、被告人が犯行に及んだ客観的な『痕跡』が、決め手と考えられている可能性はあるでしょう。今後は、検察と、全面否認の被告人、弁護人と熾烈な全面対決ということになるでしょう」

――今後、この事件をどのように見ていけばよいのでしょうか?

「今後は、公判前整理手続が採用され、争点や証拠が整理される可能性が高いと思われますが、その過程で、現在はわからない、検察庁が持つ証拠の全貌がわかることになります。状況証拠程度のぜい弱なものなのか、犯人性を強固に立証できる確固としたものなのか、被告人、弁護人がどのような反証ができるかを含め、今後とも、慎重にこの事件を見る必要があると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

落合 洋司
落合 洋司(おちあい ようじ)弁護士 高輪共同法律事務所
1989年、検事に任官、東京地検公安部等に勤務し2000年退官・弁護士登録。IT企業勤務を経て現在に至る。

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