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2015年11月15日 10時55分

前夜の酒が残ったまま、朝の「酒気帯び運転」で事故ーーなぜ「無罪判決」が出たのか?

前夜の酒が残ったまま、朝の「酒気帯び運転」で事故ーーなぜ「無罪判決」が出たのか?
写真はイメージ

酒気帯び運転をしたのに、無罪判決が出た。那覇地裁は11月5日、前夜に飲酒をしたのが原因で道路交通法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた沖縄県内の20代男性に対して、無罪判決を言い渡した。

報道によると、男性は昨年10月6日夜、友人宅で缶ビール4本と泡盛の水割り1杯を飲み、翌朝、同県宜野湾市で軽自動車を運転中に追突事故を起こした。飲酒から事故までに11時間半が経過しており、その間に6時間の睡眠をとっていたが、事故後の検査で呼気1リットルあたり0.39ミリグラム(基準値は0.15ミリグラム)のアルコールが検出されたという。

酒気帯び運転は「故意」でなければ罪に問われないが、那覇地裁の安原和臣裁判官は、男性は酒気帯びの認識が乏しかったと判断。「アルコール保有の認識を認めるに足りる証拠がない」と結論づけた。

前夜の酒が残っていることに気づかず運転してしまう可能性は、ほかの人にもありそうだ。今回の判決をどうとらえればいいのだろうか。宮田卓弥弁護士に聞いた。

●客観的に判断した妥当な判決

「この男性は、酒気帯び運転の罪(道路交通法117条の2の2第3号、同施行令44条の3)に問われていました。判例によれば、アルコールが残っていることを認識しながら車を運転するだけで、酒気帯び運転の『故意』が認められます。

アルコール保有量の数値まで認識している必要はありません。今回のケースでは、客観的には基準値を超えていますが、裁判所は、故意を否定して無罪判決を言い渡しました」

自分で「アルコールが残っていたとは思わなかった」というだけで、「故意」を否定できるだろうか。

「本人が『知らなかった』と言えば直ちに無罪となるというわけではありません。 故意は、一般的に、本人の供述のみではなく客観的な事実を重視して、認定されます。今回は、(1)飲酒から11時間半が経過している(2)睡眠を6時間とっている――という客観的な事実が認定されています。

判決文は明らかではありませんが、飲酒から長く時間を空け、さらに一定程度睡眠をとっていたなら、アルコールは残っていないと考えるのが合理的だ、という判断がされたのではないでしょうか。この判決は、客観的な事実から『故意が認められない』と判断した妥当なものだと思います」

では、酒を飲んだあと、一定時間休めば、車を運転してもよいだろうか。

「いいえ。車を運転することはできる限り控えるべきでしょう。今回のケースでも、客観的には基準値を上回る数値が出ている以上、危険な状態で運転していることに変わりはありません。飲酒運転は、多くの人に危険を及ぼす状態であることを理解すべきです。

また、現在は飲酒運転に対して社会的に厳しい目が向けられており、飲酒運転を理由に逮捕や懲戒処分などが行われています。仮に、無罪になったとしても、その後の職場復帰は大変です。飲酒運転とされた場合のリスクは非常に高く、取り返しのつかないことになりかねません。

今回の判決は、飲酒運転をしてもよいという判断ではありません。それは強調しておきたいと思います。やはり、絶対に飲酒後の運転は控えるべきですし、今回のように、客観的にアルコールが残った状態もありうるので、運転は避けるべきでしょう。

宮田弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

宮田 卓弥弁護士
福岡県弁護士会所属(2002年弁護士登録)。福岡を中心に九州の被害者の交通事故事件を多数扱う。特に、事故直後から後遺障害の賠償に力を入れている。
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