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酒に酔って「自転車」に乗ってはいけない 「罰則」はどうなっている?
自転車の飲酒運転をした場合、どんな罰を受けるのだろうか?

酒に酔って「自転車」に乗ってはいけない 「罰則」はどうなっている?

自動車の「飲酒運転」は非常に危険な行為で、ときには重大な事故につながることもある。そんな事態を防ぐため、道路交通法では、酒酔いや酒気帯びの状態で自動車を運転した者を罰してる。

では、「自転車」の場合はどうか。ネットのQ&Aサイトには「飲酒して自転車に乗っても大丈夫ですか?」「警察に捕まりますか?」といった質問が多数寄せられている。実は、道交法では自転車の飲酒運転も禁止されているのだ。

自転車の飲酒運転をした場合、どんな罰を受けるのか。また、自転車の飲酒運転の実態はどうなっているのだろうか。野野村泰二弁護士に聞いた。

●自転車の「酒酔い運転」は禁じられている

「自転車は、道路交通法上『軽車両』とされ、『車両』に含まれます」

このように野野村弁護士は切り出した。

「自転車の飲酒運転については、道交法65条1項が『何人も、酒気を帯びて<車両等>を運転してはならない』と規定しています。ですから、自転車の飲酒運転も、立派な違法行為となります」

罰金はあるのだろうか。

「アルコールの影響で、正常な運転ができないおそれのある状態での運転は飲酒運転に該当し、罰則の対象となります。

罰則は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。ただ、自動車とちがって、自転車には免許制度や点数制度、反則金制度がないことから、酒酔い運転に至らない『酒気帯び運転』は、処罰の対象とされていません」

●警察は「自転車」の取締りを強化中

酒気帯びが処罰されないのなら、飲んで運転する人も少なくなさそうだ。

「自転車の飲酒運転については、自動車やバイクほどの危険性がないため、警察も従前は、あまり積極的に摘発していませんでした。しかし近年、自動車の交通事故の件数が減少傾向にあるいっぽうで、歩行者が『自転車』との衝突事故で死亡したり、重度障害を負ったりする事件の割合が増加しているのです。このため警察も、交通ルールを無視した悪質な自転車運転の取締りを強化しているようです」

自転車は免許もいらず、気軽に乗れる乗り物だが、一歩間違えば、自分だけでなく他人も傷つける可能性があることを肝に銘じておきたい。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

野野村 泰二
野野村 泰二(ののむら たいじ)弁護士 尾崎法律事務所
民間企業でのサラリーマン生活を経て、2008年に弁護士登録。大阪弁護士会では登録以来、交通事故委員会に所属。2013年4月より同委員会副委員長。

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