タイ警察は4月5日、出資法違反の疑いで国際手配されていた熊本県の女性(62)を、入国管理法違反容疑で逮捕したと発表した。女性は今後、日本に強制送還される。
報道によると、女性は元本保証や高利息をうたい、知人2人に6800万円を出資させた疑いが持たれている。熊本県警が今年1月、国際手配していた。女性は日本人の共犯者2人とともに、トータル50人以上から少なくとも7億円を集めたとみられ、集めた金の一部はタイ人男性に貢いでいたようだ。
典型的な詐欺の手口のように見えるが、どうして出資法違反なのだろうか。詐欺罪と出資法違反の違いを冨本和男弁護士に聞いた。
●「最終的には詐欺罪での立件を目指すと考えられる」
「詐欺罪成立の大きなポイントは、人を騙したと言えるかどうかです。現状では、集めたお金で投資などをしていた可能性も否定できません。立証が難しいので、まず出資法違反で逮捕して、お金の流れや本人の認識を確認するのだと考えられます」(冨本弁護士)
出資法は、貸金業者などの規制を目的とした法律。不特定多数に対し、元本保証や元本以上の払い戻しを約束して、出資金を受け入れることが禁止されている(第1条)。
罰則は、出資法違反が3年以下の懲役か罰金300万円、またはその両方。一方、詐欺罪は10年以下の懲役と罪の重さが大きく違う。
「取り調べを通し、最終的には詐欺罪での立件を目指すのではないでしょうか。なお、詐欺で有罪になった場合、出資法違反は適用されません(出資法8条4項)。また、組織的な詐欺だと認められれば、刑が重くなり、最大で20年以下の懲役になります(組織犯罪処罰法違反)」
冨本弁護士は、「最近、出資法違反での逮捕をよく聞きますね。『元本保証』など、うまい儲け話には注意しましょう」と話していた。