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ホテル備え付け「高級シャンプー」をペットボトルに移し替え...備品持ち帰りは犯罪?
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ホテル備え付け「高級シャンプー」をペットボトルに移し替え...備品持ち帰りは犯罪?

旅行で楽しみなのは、ホテルや旅館で過ごす時間だ。ホテルや旅館にはおしゃれな備品やアメニティが置かれていることがあるが、インターネット上の掲示板やQ&Aサイトには、備品やアメニティをどこまで持ち帰っていいの?という疑問が書き込まれている。

「入浴剤やBBクリームのサンプルやシートマスク」といった使い捨てグッズを持ち帰る人もいれば、「前の職場でタオルとか持ち帰るっていってた主婦がいてビビった!」という声も。また、とあるリゾートホテルに宿泊した人からは、同行者が大浴場に備え付けられているシャンプーやボディソープ(同じものを売店で5000円で販売)を、500mlのペットボトルに移し替えていたようだという書き込みが寄せられていた。

使い捨てのアメニティなら持ち帰っても問題はなさそうだが、ホテル備え付けのタオルをこっそり持ち帰ったり、大浴場のシャンプーを無断でペットボトルに移し替える行為は、法的に問題があるのだろうか。東山俊弁護士に聞いた。

●「窃盗罪」にあたる可能性あり

ホテルに備え付けられているものにも、アメニティのように顧客が使い捨てたり持ち帰ったりすることを予定しているものと、コップやポット、タオルのように客が持ち帰ることを予定していない備品があります。

アメニティを持ち帰ることは犯罪になりませんが、備品を持ち帰ることは犯罪であり、「窃盗罪」にあたると考えられます。判例でも、宿泊費を支払うことができなかったため浴衣を着たまま旅館から逃げたという件で、浴衣に関する窃盗が認められたものがあります。

備品を持ち帰ってもホテルから代金を請求されたという話はあまり聞かないかもしれません。恐らく、ホテルとしては、損害額も多くはありませんし、民事・刑事手続きの労力を考えて、泣き寝入りをしているのでしょう。

ホテルの備品を無断で持ち帰ったことについて、「持ち帰ってはいけないとは書いていなかったから勘違いしてしまった」と弁解する人もいるかもしれません。

備品を持ち帰ってよいと思った場合には、窃盗であることを認識していませんので、窃盗罪は成立しません。もっとも、持ち帰ってよいと思えば常に窃盗罪が成立しないわけではありません。高級なシャンプーのようにある程度の価値があるもの、バスタオルのように繰り返し使用することが予定されているものなどについては、常識的にみて持ち帰ってはいけないと判断できますので、持ち帰った場合には、窃盗罪が成立します。

なお、同行者が備品を持ち帰った場合に、それを見過ごした他の同行者が罪に問われることはありません。同行者は備品を持ち帰ることを共謀していませんし、備品を持ち帰ることを手助けしてもいないからです。そのため、自分で犯罪行為をしたとも、他人の犯罪に協力したとも言えませんので、犯罪は成立しません。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

東山 俊
東山 俊(ひがしやま しゅん)弁護士 東山法律事務所
東山法律事務所所長。大阪弁護士会所属。家事事件はもちろん、一般民事事件や刑事事件も幅広く取り扱っている。

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