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「ろくでなし子裁判」結審、5月に判決 弁護団「判例をなぞるだけでない判断に期待」
芸術家・漫画家の「ろくでなし子」こと五十嵐恵被告人

「ろくでなし子裁判」結審、5月に判決 弁護団「判例をなぞるだけでない判断に期待」

女性器をかたどった「デコまん」と呼ばれる作品が「わいせつ物」にあたるなどとして、わいせつ物公然陳列罪などの罪に問われた芸術家・漫画家の「ろくでなし子」こと五十嵐恵被告人の論告求刑公判が2月1日、東京地裁(田辺三保子裁判長)であった。検察側は罰金80万円を求刑し、弁護側は改めて無罪を主張した。

裁判の最大の争点は、ろくでなし子さんの作品が「わいせつ」かどうかという点だった。

検察側は、「チャタレイ夫人の恋人事件」や「四畳半襖の下張り事件」など、過去にわいせつかどうか争われた代表的な判例を紹介しながら、判例の基準によれば「デコまん」などの作品がわいせつ物にあたることは明らかだと主張した。また、「性的刺激を緩和するような高い芸術性も思想性もない」と作品の芸術性も否定した。

一方で、弁護側は、現代では、ネット上で男女の性交などを映した動画を数多く見ることができるが、ほとんど摘発されていない現状を指摘。現在の社会的背景などを考えれば、ろくでなし子さんの作品は「わいせつ物」にあたらないと主張した。また、ろくでなし子さんの作品の芸術性を評価する学者や識者の見解を紹介し、わいせつ性は相当程度薄まっていると主張した。

ろくでなし子さんは、弁論の最後に、裁判長から「最後に何か言いたいことは」と問われると、「私は、起訴された作品(デコまん)と、されなかった作品の違いが、今でもわかりません。もし有罪判決になったら、他の作家の活動も萎縮することになってしまいます。公正な判決を期待します」と述べた。

判決は、東京地裁で5月9日に言い渡される予定。裁判長は期日を決める際、「しっかり検討したい」と、論告から判決まで3カ月という期間をあけた理由を述べた。弁護団の山口貴士弁護士は公判後の報告集会で、「判例をなぞるだけではない、これまでと違う新しい判断を示す可能性がある」と期待をみせていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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