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2021年05月16日 10時09分

家庭の事情で「自治会費」50万円を使い込んだ会長…犯罪じゃないの?

家庭の事情で「自治会費」50万円を使い込んだ会長…犯罪じゃないの?
使い込みに関する相談は意外と多い(Fast&Slow / PIXTA)

自治会費の使い込みに関する相談が、弁護士ドットコムに多数寄せられています。

ある人は自治会長を務めていますが、「家庭の事情で50万円を使い込みました」といいます。なんとか誤魔化そうとしたものの「結局使い込みが他の役員にばれてしまい、臨時総会を開くことになりました」。自分は罪に問われるのか?と聞いています。

また、別の相談者は、自治会費を使い込んで逮捕された知人を心配をして、質問を寄せています。この知人は「生活費として自治会費を使用」していたそうで、窃盗罪で逮捕、勾留されました。

相談者は「もちろん許される事ではないですが、自治会にもある程度の反省と制裁があっても良いのでは」と逮捕に疑問を持っています。

自治会費を不正に利用した場合、どのような「罪」になるのでしょうか。また、実際にこのようなトラブルに巻き込まれた場合、どのような対応が適切なのでしょうか。池田誠弁護士に聞きました。

●「業務上横領罪、窃盗罪又は詐欺罪に当たる可能性」

—— 自治会費が使い込まれた場合、刑事事件になる可能性もあるのでしょうか

自治会費の使い込みは、刑事上の業務上横領罪、窃盗罪又は詐欺罪に当たる可能性があります。それぞれの犯罪がどのような場面に成立するかは、使い込んだ人の立場や使い込みに至る過程によって異なります。

たとえば、使い込んだ人が自治会長や会計担当者のように、自治会費を自治会の業務において管理する立場にある方の場合、「業務上横領罪」が成立する余地があります。

一方、使い込んだ人が自治会費を管理する立場になければ、「窃盗罪」を構成する余地があります。

——詐欺罪になる可能性があるケースとは、具体的にどのような場合でしょうか

そこにある自治会費を使い込んだというのではなく、使い込むために人を騙したという場合には、「詐欺罪」が成立する余地があります。

たとえば、集金に際して、実際には自分で使い込むつもりで集金したのに、「自治会に納めるため」だと嘘をついて集金した場合などが典型的な例になります。

●「地方自治体では会計細則のひな形を提供」

——もし自分が所属している自治会に対して不信感をもった場合、どのように対応すればよいでしょうか

自治会費の使い込みが疑われる事案では、現実の使途が重要になります。自治会の業務に関連して支出される場面は、会社や事業者と異なり、それほど高頻度であったり、多岐にわたったりしないのが通例です。

自治会によって、例年だいたい同じような費目や金額にしか支出されないという自治会も少なくないと思います。そのような自治会の会計において、特に大きい金額についてその使途を明らかにできない事態は想定しにくいため、これが明らかにできないということは私的に流用している疑いを強めることになるからです。

ですので、自治会側としてこのようなトラブルに直面したら、まずは支出した当人にその使途を明らかにするよう求めることになります。一方、そういった嫌疑を向けられた方は、可能な限り具体的に、できれば領収書等の裏付けを伴って、その支出の目的を明らかにする作業に応じることになります。

未然にこのようなトラブルを避けるため、又はトラブルが発生したときに解決を容易にするために、自治会の会計においては、出納の都度伝票を起票し、特に支出の場合には領収書の添付を必須とするなど、不明金が生じないような手続や制度を導入するのが望ましいです。

地方自治体では会計細則のひな形を提供したり、ガイドブックを通じて会計の方法を励行していたりしていますので、そのようなものを参照して細則や手続を導入するのが簡便です。

一方、殊に会計担当者のように、自治会費を扱う方は、自分の所属する自治会がそのような制度を導入しているか、前任者からそのような引継があったかにかかわらず、個人的にでも自治会費の出納については詳細な帳簿を付けるなどして、自衛を図るのが得策だと思います。

取材協力弁護士

池田 誠弁護士
証券会社、商品先物業者、銀行などが扱う先進的な投資商品による被害救済を含む消費者被害救済や企業や個人間の債権回収分野に注力している下町の弁護士です。債権回収特設ページURL(https://nippori-law-saikenkanri.com/)

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