依頼者だけでなくすべての関係者と丁寧にコミュニケーションを取り、最後まで粘り強く取り組む
大学の友人が司法試験を目指す様子を見て、法曹の道へ進むことを決意
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
大学に入った当初は、法律家になろうとは全く考えていませんでした。法学部を選んだ理由も、単純に文系の勉強が好きだったからです。
司法試験を目指す転機となったのは、大学3年生のときに、友人に誘われて刑法のゼミに入ったことです。ゼミ生の9割が司法試験を目指していて、先輩もほとんどが司法試験を受けるという環境でした。私はそのことを知らずに入ったので、最初は驚きましたが、軽い気持ちで目指してみることにしました。
また、私の母は歯科医師なのですが、資格を持っている女性は社会の中で有利だと感じていました。そういった理由から、資格を持つことが将来に役立つとも考えました。
法律の勉強は面白かったです。私はお喋りが好きで、理論立てて説明を受けることが好きなんです。わからないことを理論的に説明されると気持ちがいいと感じます。そのような理論的な人に尊敬の念を抱き、自分もそうなりたいと思っていました。法律の本も、結論と理由が明快に書かれているので読んでいて気持ちがよく、前向きに勉強できました。
ーーどんな学生時代でしたか。
中学生・高校生の頃はバスケットボールに熱中していました。
最初は友人に誘われて軽い気持ちでバスケ部に入ったのですが、バスケを始める前は虚弱体質でメンタルも弱かったです。厳しい練習だったので途中で辞めていく友人もいましたが、私は負けん気が強く最後まで続けました。一度決めたことはやめたくないという気持ちで続け、最終的には引退まで続けました。
引退時には、顧問の先生から「お前は本当に変わった。こんなに強い人間じゃなかったと思うんだけどな」と言われたことが思い出に残っています。
相手との関係性を大切にして丁寧にコミュニケーションを取る
ーー注力分野と、その分野に注力している理由を教えてください。
離婚や自己破産を多く扱っています。また、刑事事件にも取り組んでいます。
離婚の相談では、女性の相談者から「女性の弁護士にお願いしたい」と指名されることがあります。女性同士の方が気持ちを理解しやすいと感じるからだと思います。特に、男性からひどい目に遭った経験がある女性は、女性弁護士を希望することが多いです。逆に、自分が不貞をしてしまったという理由で、女性弁護士に相談したいと指名する方もいます。
相談の内容は様々で、「離婚をしたいのでどうしたらよいか教えてほしい」といった漠然とした相談もあれば、事前にインターネットで調べた上で「財産分与について詳しく聞きたい」といった具体的な相談もあります。スマートフォンの普及により、自分で情報を調べてから相談に来る方が多く、こちらも気を引き締めて対応しています。
自己破産の相談では、物価の上昇に伴い生活が厳しくなっている方が増えていると感じます。また、親の介護の負担で悩んでいる方もいます。いずれも一生懸命働いているのに借金を抱えている方が多く、借金を整理して新たな生活をスタートできるようサポートしています。
刑事事件については、司法修習時代にお世話になった教官や先輩弁護士からのアドバイスを受け、弁護士になったばかりの早い段階から取り組むことにしました。刑事弁護はスピード感が求められ、被疑者の勾留なども短期間で決まるため、迅速に対応することを第一に心がけています。
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
相手との関係性を大切にしてコミュニケーションを取ることを心がけています。依頼者との関係だけでなく、相手方や、裁判官、裁判所書記官、刑事事件の場合には被疑者、検察官、警察官など、すべての人とのコミュニケーションを大切にするよう意識しています。
特に相手方との話し合いでは、対立関係にあるとしても敵対心を持たず、問題解決のための関係者として接する方が上手くいくことが多いと感じています。
また、事件の当事者でなくても、例えば裁判所の受付で書類を提出する際には、「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えることが大切だと思います。それだけで物事がスムーズに進むこともありますし、自分自身も感謝の気持ちを伝えることで気持ちがすっきりします。
事務所の尊敬する先輩も「敵を作らない」行動を実践しており、その姿に憧れを持っています。仕事を進める上で、誰に対しても誠意を持って対応し、しっかり話を聞いて応えることが大切だと学びました。
ーー弁護士として活動してきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
婚姻費用の分担についての審判に対して、抗告を申し立てた案件が印象に残っています。
その案件は、事務所の先輩弁護士から引き継いだもので、私は抗告を申し立てる段階から参加しました。依頼者の主張内容は法的に認められにくいものでしたが、それでも抗告を申し立てたいという意向でした。
私は、抗告を申し立てる際に提出する抗告理由書の作成を担当することになりました。まだ弁護士になって3か月ほどだったので、最初に案件を振られたときには書き方もわからない状態でしたが、目の前にあるものをがむしゃらにやるしかないと思い、必死に取り組みました。最初に骨子として書いたものを、先輩弁護士やパラリーガルに何度も見てもらって修正する作業を繰り返し、終電まで事務所に残って書き続ける生活を1週間ほど過ごし、13枚ほどの長い書面を書き上げました。
抗告の結果は、依頼者にとってあまりよくない内容でした。しかし、熱意を込めて書いた書面に対して依頼者から「ありがとうございました」と感謝の言葉をいただきました。負けたにもかかわらず感謝してもらえたのは、私が引き継ぐ前に先輩弁護士が依頼者としっかりとコミュニケーションを取って関係性を築いてくれたおかげだと思います。その関係性を受け継ぎ、私も全力で取り組んだ結果、感謝の言葉をもらえたことが嬉しかったです。
この経験を通じて、全力を尽くして結果が伴わない場合でも、依頼者との関係性がしっかりしていれば感謝されることがあると気づきました。弁護士の仕事では、負けるかもしれないけれどやってほしいと依頼を受ける案件もあります。もちろん依頼者が勝てるように全力を尽くしますが、たとえ負けてしまっても、やれるだけのことはやったと前向きに終われるように努めることが大事だと感じました。
事態が悪化する前に相談することで、早期に解決できることもある
ーープライベートについても伺います。休日はどのようにお過ごしですか。
アニメが好きです。平日はなかなか時間がないので、週末に家事をまとめて片付けています。その際、アニメをイヤホンで聴きながら家事をすることが多いです。
また、植物を育てるのも趣味です。ベランダで多肉植物などの鉢植えを育てています。特に春は植え替えや水やりに時間を費やします。多肉植物は週1回の水やりでよいので、忙しい平日でも枯れないところが気に入っています。弁護士の仕事と相性がよいと感じますね。種から育てることもあるので、どんどん増えてしまい今では300鉢ほどを育てています。
他には、友人に誘われてバスケットボールをすることもあります。頻度は減りましたが、3〜4ヶ月に1回程度楽しんでいます。
ーー今後の展望を教えてください。
実務で知らないことが出てきたときに怯まず、しっかり調べて今後に活かすことが重要だと感じています。司法試験で学んだ内容と、実際の実務には違いが多くあります。例えば、司法試験では依頼者とのやり取りについて学ぶ機会がありませんし、手続き面でも司法試験には出てこないことがたくさんあります。
また、初心を忘れずに依頼者としっかりコミュニケーションを取ることを今後も大切にしたいです。弁護士生活は長く続くと思うので、初心と努力を忘れずに精進していきたいです。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
弁護士に相談することに躊躇する方も多いかもしれません。「弁護士に依頼する」イコール「相手と戦う」というイメージがあるため、気が引けることもあるでしょう。しかし、とりあえず相談だけしてみるという選択肢もあります。法律相談だけであれば、気軽に予約して話を聞くことができます。
弁護士を選択肢に入れるということは、自分ひとりでは解決が難しいかもしれないと感じているからだと思います。まずは気軽に意見を聞いてみるだけでもよいですし、病院のセカンドオピニオンのように、いろんな弁護士と話して相性のよい方を探すのもよい方法です。事態が悪化する前に相談することで、早期に解決できることもあります。
ぜひお気軽にご相談ください。