中目黒のマチ弁として、地元の人々の悩みに広く対応〜「話を聞くことが好き。何でも気軽に相談を」
ある事件の取材をきっかけに、カメラマンから弁護士へ転身
ーー弁護士になる前は、新聞社で働いていたと伺いました。
報道カメラマンとして働いていました。大学時代は法学部で、弁護士を目指そうと考えたこともあります。ただ、在学中は法律よりも政治の勉強の方が楽しく、専攻科目も法律ではなく政治を選びました。
卒業後の進路を決めるにあたって、報道に携わりたいと思い、写真を撮ることも好きだったのでカメラマン志望で新聞社に入社しました。
ーー弁護士を目指すきっかけは何だったのでしょう。
目の見えないお子さんがいる方が、普通小学校への入学許可を求めて教育委員会と争った事件を取材したことです。毎日のように取材に出向き、代理人の弁護士や教育委員会から話を聞いて、事件の経過を紙面で伝えました。
この事件は支援者がとても多く、ボランティアで教科書を点字化してくれる方や、学校側にも、お子さんを受け入れたいと声を上げてくれる先生がいました。周囲のサポートのもと、当事者と教育委員会との間で交渉を進めましたが、結果的に入学は認められませんでした。
思い入れを持って取材していた事件だったので、この結果を受けて、自分の無力さに打ちひしがれました。記者やカメラマンは事件を取材して報道することはできても、それ以上踏み込んだ活動をすることは難しいです。もしも私が弁護士なら、より直接的に事件に関わり、当事者の力になるための活動ができたかもしれないーー。この出来事がきっかけになり、トラブルを抱えている人と近い距離で関わり、問題解決に向けた活動ができる弁護士の仕事に魅力を感じるようになりました。
その後、ロースクールが創設されたことにも背中を押されて、本気で弁護士を目指してみようと思い立ちました。16年勤務した新聞社を退職し、40歳でロースクールに入学。じっくり考えることが求められる論文試験は得意でしたが、暗記系の科目は苦労しました。試験を突破するために人の3倍は勉強しなければと思い、暇さえあれば法律の基本書を読んでいましたね。
弁護士登録後は、新聞社時代に縁があった法律事務所で5年ほど経験を積み、その後独立しました。中目黒を選んだのは、いわゆる「マチ弁」として地元密着型の仕事をしたいと思ったからです。当時は弁護士が少ない地域でもあり、悩みを抱えている方の力になれたらと思い、この地で開業しました。今年で6年目になります。
依頼者との対話を重ねて、最善の解決方法を見出す
ーーどのような案件を手がけていますか。
離婚や債権回収の事件を中心に手がけています。中目黒周辺に住んでいる個人の方や、中小企業の経営者、個人事業主から依頼を受けることが多いです。
ーー仕事をするときに心がけていることを教えてください。
依頼者にとって最大限の利益を実現するために、どのような解決方法が最善なのか考え抜くことです。
最善の解決方法を見出すためには、事案を詳しく把握しなければなりません。依頼者との打ち合わせでは、まず、トラブルが起こった背景や相手方に対する思い、希望する結果など、ご本人が言いたいことを全て聞きます。
その上で、法律で解決できる部分とそうではない部分を整理します。そして、解決できる部分について、依頼者の意向と私の考えをすり合わせながら、依頼者が望む結果に至るまでの道筋を一緒に考えていきます。
行政事件の弁護団活動にも取り組む
ーー仕事のやりがいを感じるのはどのようなときですか。
依頼者が満足する結果を出せたときです。事件が解決して「ありがとうございました」と言っていただけると、依頼者のお役に立てた嬉しさで胸がいっぱいになります。
基本的には地元の方から寄せられる案件に対応していますが、一方で行政事件にも取り組んでいます。国を相手に争う事件は、民事事件や刑事事件とは全く違うやりがいがあります。「社会的な役割を果たしている」と強く感じますし、弁護団を組んでチームで取り組むため、他の弁護士の方の意見を知ることができ、非常に刺激を受けます。
現在携わっているのは福島原発事故の裁判です。7年ほど前から弁護団に入り、大先輩の先生方と一緒に活動しています。現地にも何度も視察に行きました。大きな権力に屈しないという気概を持って、弁護団の先生方、そして原告の方々とともに戦い続けています。
困っていることがあれば、どんなことでも相談を
ーー今後の展望をお聞かせください。
2022年10月に、中目黒に「ビジネス・コート」が開設されました。東京地裁のビジネス関連の部署と知財高裁が霞ヶ関から移転し、今後はこの中目黒で、企業間トラブルや特許などビジネスに関する訴訟が専門的に取り扱われることになります。
今まであまり取り組んでこなかった分野ですが、この機会に勉強し、依頼が寄せられた際に対応できるよう準備しているところです。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
自分の悩みが法律トラブルなのか、なかなか判断できない方も多いと思います。法律問題かどうか関係なく、困っていることがあれば、一度話をしに来てみてください。
法律問題であれば、早めに対処することでそれ以上状況が悪くなることを防げますし、弁護士が対応することが難しい場合は適切な相談先をご紹介できます。
話を聞くのは得意なので、どんなことでも遠慮なくご相談ください。1人で抱えていることを誰かに話すと、それだけで気が楽になりますよ。お待ちしています。