大手企業法務から離婚事件まで、幅広い経験をもとに依頼者に寄り添う
幼い頃の交通事故被害、励ましてくれた弁護士の姿に憧れて
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
小学生のときの交通事故がきっかけです。
登下校中に青信号の横断歩道を渡っていると、交差点を曲がってきた車に背後から衝突されました。もしランドセルがなかったら死んでいたと思います。
事故の恐怖で、しばらくは横断歩道を渡ることも、車の助手席に乗ることもできませんでした。あまり記憶にないのですが、そうした状況の中で私を励ましてくれたり、話を聞いてくれたりしてくれたのが弁護士さんだったと聞いて、私も弁護士になりたいと思うようになりました。
ーーそこからはブレずに弁護士を目指して勉強を続けたのでしょうか。
正直にいうと、検察官の仕事にも惹かれていました
きっかけは、大学4年生の時に受けた司法試験の論文試験です。刑事訴訟法の試験にまったく知らない問題が出題されて悔しい思いをして、刑事系の科目を真面目に勉強するようになりました。そうしたら刑事系の法律のおもしろさに目覚めてしまい、「検察官もいいな」と思うようになったんです。
ロースクールに進学すると、周囲は弁護士として大手事務所に入って企業法務を担当することを目標にしている同級生がほとんどだったので、進路には悩みました。
ただ、弁護士も検察官も被害者や正義のために働く職業という点では共通していると思ったので、どちらの道に進むかは、司法試験に受かって司法修習に行ってから決めようと思いました。
最終的に弁護士になることを決めたのは、司法修習中に検察から法テラス(日本司法支援センター)に出向している方に出会ったからです。
もともと、経済的弱者、社会的弱者を支援するために設置された法テラスに興味がありました。その方から「(法テラスは)新しい組織で、裁判員裁判にも関わるよ」と教えていただいたんです。
社会的・経済的弱者の支援をしながら、刑事裁判にも関わる機会があるということで、弁護士になって法テラスで働こうと決心しました。
とにかくがむしゃらに働いた新人時代、裁判員裁判も数多く担当
ーー実際に弁護士になってからは、日本有数の大手法律事務所である森・濱田松本法律事務所でキャリアをスタートしていますね。
法テラスで働くための即戦力になるために1年間修行させてもらいました。
森・濱田松本法律事務所は企業法務で有名な大手事務所です。法テラスで働く前に、企業など比較的強い立場から事件に関わり、強い立場の論理も見てみたいという思いもありました。
この1年間は、とにかくがむしゃらに働きました。働き過ぎて「もう働いてはダメだ!」と呼び出しを受けるほどだったのですが、「1年だけなので大丈夫です」と言ってやらせてもらいました。
あらゆる分野のトップの先生方に鍛えてもらえましたし、渉外法務や知財法務、大企業がクライアントの事件など、幅広く担当させてもらいました。
修行を終えて法テラスでの業務にあたるようになってからは、経済的に困窮している方たちの民事事件を大量に担当しました。法テラスでは、基本的には資力のある方の事件は扱ってはならなかったからです。
並行して刑事事件にも取り組みました。一つ一つが裁判員裁判になるような大きい事件だったうえ、その合間にそうした大量の民事事件をこなさなければならないので大変でしたね。ただ、おかげで裁判員裁判について、制度が始まった当時にかなりの経験を積むことができました。
埼玉県初のスクールロイヤーとして学校問題にも取り組む
ーーその後独立を経て現在の事務所に参画されています。独立してからはどのような業務に注力しているのでしょうか。
独立してから1年ほどは、特にDVが絡む離婚事件に集中して取り組んでいました。もともと離婚事件の依頼をよく受けていたのですが、依頼者の9割近くが女性だったこともあり、DVの悩みを抱える方が多かったのです。
その後、頼りにしていた事務員が家族の都合で退職することになったタイミングで今の事務所に参画し、民事・刑事問わず取り組んでいます。
新しい取り組みとしては、学校問題や子どもの問題への取り組みとして、埼玉県が初めて設置したスクールロイヤーを担当しています。
最近では、教師に対して「いじめ」の防止や解消に向けた法的な視点からの研修を担当したりしています。今後は、いじめの問題だけでなく、体罰など教師の側の問題改善にも取り組んでいきたいと考えています。