佐渡島 啓 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
小学生の頃,友人の両親が離婚し,母親に引き取られた友人が引っ越して転校して行った。しばらくして、仲間7、8人で転校した友人のところに遊びに行ったが、友人は転校先でいじめに遭って悩んでいた。
両親の離婚は仕方ないとしても、それに巻き込まれる人達の被害を最小限にできることはないかと、そのとき漠然と思った。そのときは弁護士という職業をまだ知らなかったが、これがきっかけと言えばきっかけ。
その後中学生になり、教科書裁判(家永訴訟)を知り、これで弁護士に興味をもった。
今までの経験と現在の仕事状況
どのような事件でも取り組む事務所に入所し、そのような先輩弁護士のうしろにくっついて来た。離婚・相続などの家事事件、多重債務事件、交通事故事件、労働(労災)事件、刑事事件、行政事件など、様々な事件を扱ってきた。
印象に残っているのは、弁護士1年目から参加させていただいた預貯金過誤払被害対策弁護団。通帳を盗難に遭い、副印鑑などから印影を偽造され、本人確認を十分にしない銀行で預金を他人に払い戻されてしまう。
何千万という大金を、何の落ち度もなく失った多数の被害者を原告に、多数の銀行を相手に訴訟で闘った。これにより銀行での本人確認が厳格になり、預金者保護法も成立した。依頼者との関係作り、書面の書き方、法廷での立ち振る舞い、多くのことをこの弁護団で学んだ。
また、労働法の分野で多少専門的に活動してきたこともあり、他の専門家に対する労働法の講義を依頼されたり、朝日新聞の労働に関するコラムを書かせてもらったりもしている。
仕事をする上で意識していること
依頼者の心情に寄り添う努力をするが、依頼者の訴えるがままに迎合せず、当事者ではなく代理人として客観的な立場でアドバイスをし、紛争の着地点を共に考える。
また、様々な分野において相談してくる依頼者の方がいるが、えり好みせず、とにかく人を巻き込んででもその事件に取り組むよう心がけている。
関心のある分野
労災事件、特に過労死・過労自殺の分野に関心がある。
誰でも会社に期待され、責任ある仕事を任されたならば、それに応えようと精一杯努力する。しかし、そのような純粋な思いで仕事を頑張り過ぎた人達が、過労で倒れたり、精神疾患に罹患して自殺してしまうと、残された家族はいたたまれない。
そのような事件が一つでもなくなるように、訴訟などによって会社がとるべき責任はとってもらい、また、そもそも無理な働き方をしなければならない状況が生まれない社会にする。
私自身はいくつかの過労死事件の裁判を手がけているが、過労死防止法制定のために遺族や過労死問題を扱う弁護団を中心にした立法活動もおこなわれている。このような活動を世間に広く知ってもらうことも弁護士の役割だと思う。