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コンビニFC店で起きた恐喝未遂事件、被害者が「本部」を提訴…使用者責任が焦点に
村山直弁護士

コンビニFC店で起きた恐喝未遂事件、被害者が「本部」を提訴…使用者責任が焦点に

コンビニのフランチャイズ店舗の経営者から不正に個人情報を取得され、性的関係などを迫られたとして6月23日、20代の女性が店舗の運営会社とフランチャイズ本部の会社を相手に、約440万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

大規模フランチャイズの場合、加盟店の裁量権は小さく、経営方針は本部が決めてしまうことが多い。提訴後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した原告代理人の村山直弁護士は、「フランチャイザー(本部)側の責任を考える良い機会になるのではないか」と話した。

訴状などによると、原告の女性は2015年5月に都内のコンビニで宅急便の配送を申し込んだ。荷物を受けつけたのは、当時経営者だった男性A。Aは伝票から女性の連絡先を知ると、女性に電話をかけて、知り合いが危害を加えようとしているなどと嘘をつき、助かりたかったら「10万円を用意しろ」「俺と体の関係を持て」などと脅した。このため、女性は引っ越しを余儀なくされた。

Aは女性に対する恐喝未遂や、アルバイト面接の履歴書を悪用し、別の女性に強姦をした疑いでも逮捕され、2015年10月に懲役6年の実刑判決を受けている。

●フランチャイズ本部に「使用者責任」を問えるか

裁判では、Aが勤務時間中に得た情報を悪用していることから、Aの使用者が誰になるのかが最大の争点になりそうだ。原告側によると、事前の交渉では、本部の企業から「フランチャイズ契約のため、本部は使用者には当たらない」という回答があったという。

一方、原告側は、加盟店の営業方針が本部に決められていることなどを理由に、店舗の運営会社だけでなく、本部にも使用者性が認められると主張している。また、仮に使用者性が認められないとしても、本部には個人情報の管理について継続的に指揮監督する義務があったはずだとしている。

村山弁護士は、「加盟店にすべての責任をなすりつけようとする態度が見られる。店舗の利益はしっかり回収するのに、損害が出た場合は一切(お金が)出て行かない。旨味のみを吸い取るのではなく、発生した危険についても負担し、二度と同じことが起きないように対策を講じる社会的責任があるのではないか」と話していた。

訴えられたフランチャイズ本部は、「訴状が未だ届いておりませんので、詳細は確認中です。当社加盟店の元従業員が起こした事件ではありますが、たいへん遺憾に思っております」とコメントしている。

(弁護士ドットコムニュース)

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