音楽に合わせて客がダンスを踊る「クラブ」の深夜営業を、一定の条件つきで認める改正風営法が6月23日、施行された。それにさきがけて、東京のクラブで開かれたトークイベントで、ヒップホップ・アクティビストのZeebra(ジブラ)さんは「合法になったので、これまでクラブに来たことがない人も、安心して遊びにきてほしい」と呼びかけた。
これまで風俗営業法(風営法)では、ダンス営業は原則午前0時(最大午前1時)までとされてきた。2010年代に入って同法違反でのクラブの摘発があいついだことを受け、愛好家やミュージシャンらによる法改正に向けた動きが活発化した。法改正によって、店内の明るさなどの条件を満たしたクラブは、「特定遊興飲食店」として朝まで営業できるようになった。
風営法改正後の課題と展望を考えるトークイベントは6月21日夜、朝日新聞未来メディアカフェとして、東京・渋谷のクラブで開催された。風営法の改正に向けて尽力してきた斎藤貴弘弁護士は「法改正が目的ではなく、法改正のあとに、面白い文化やインパクトのある産業をどう作っていくかが重要。いまはスタート地点に立てたというところ」と話した。
ヒップホップ・アクティビストで、「クラブとクラブカルチャーを守る会」の会長をつとめるZeebraさんは「合法になると、夜中に何か起きても、すぐに警察に電話できる」として、法改正のメリットを口にした。
「非合法だと、電話した瞬間に『お前が店を開けているのがいけないんじゃないか』という根本的な問題になってしまう。それが犯罪の温床になっていた面は否めないと思うが、これからはそんなことがなくなる。これまでクラブに来たことがないみなさんも、安心して遊びにきてほしい」
ダンス規制の問題を継続的に取材してきた朝日新聞の神庭亮介記者は「今回の改正風営法が100点というわけではない」と指摘しながら、「パソコンのOSのバージョンアップのように、風営法2.0から風営法2.1へという感じで、今後も小刻みに変えていこうとする姿勢が大事ではないか」と話していた。