弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 民事・その他
  3. 京都に存在するリアル「スタンドバイミー」 住民が「線路」を歩くのはどんな犯罪?
京都に存在するリアル「スタンドバイミー」 住民が「線路」を歩くのはどんな犯罪?
京阪電鉄京津線・四宮駅付近の線路

京都に存在するリアル「スタンドバイミー」 住民が「線路」を歩くのはどんな犯罪?

少年たちが、どこまでも続く線路を歩いていくーー。映画「スタンドバイミー」のような光景にあこがれる人もいそうだが、現実社会では、京都市山科区の京阪京津線・山科~四宮間で、住民たちが「抜け道」として線路を歩くケースがあいつぎ、問題になっている。

報道によると、問題となっているのは、住宅地にある京阪電鉄京津線の3カ所の踏切区間。各踏切の間は約15メートルと約40メートルで、近くの駅が見通せる。線路を歩けば、道路を歩く場合と比べて、駅まで100メートルの近道になるため、線路の中を通り抜けるケースが後を絶たないそうだ。

今年5月下旬には、同区間で線路内を無断で通行したとして、鉄道営業法違反の容疑で72歳の男性が書類送検され、高校2年の女子生徒が家裁送致された。線路内に立ち入ることは、どんな罪にあたるのだろうか。岡田一毅弁護士に聞いた。

●みだりに立ち入ることは許されない

「線路については、鉄道営業法37条で、みだりに立ち入ることは許されないことになっています」

岡田弁護士はこのように述べる。車が走る道路に立ち入る場合と、何か違いがあるのだろうか。

「道路についても、歩行者進入禁止のところに入ると、道路交通法8条1項違反として処罰されることになります。

道路は、歩行者と車両が共用されることが一般的な状態です。したがって、特に車両通行の妨げとなり、歩行者の安全が確保できない場合にかぎって、例外的に禁止するという形態をとっていると考えられます。

道路も鉄道も、いずれも歩行者の危険の防止、道路交通・鉄道交通の安全の確保のため、立ち入りを処罰しています。線路に立ち入った場合だけが、特に厳しく処罰されているというわけではありません」

●鉄道の往来の危険を生じさせた場合は「往来危険罪」の可能性も

線路に立ち入った場合、罪の重さはどの程度なのだろう。

「鉄道営業法37条によると、鉄道施設などの立ち入り罪は、刑罰としては一番軽い『科料(1000円以上9999円以下)』というものとなっています。線路への立ち入りにも適用されます。

もっとも、単純に立ち入るだけではなく、線路に置き石をしたり、標識を壊したりして、鉄道の往来の危険を生じさせた場合は、往来危険罪(刑法125条)として処罰されます。

たとえば、踏み板を勝手に線路に設置して、それが浮いていて車輪に当たるなどの場合は、往来危険罪で処罰される可能性もあり得ます」

岡田弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

岡田 一毅
岡田 一毅(おかだ かずき)弁護士 奥村・岡田総合法律事務所
2013年度京都弁護士会副会長。交通事故などの交通法務に詳しく、大手損保会社の顧問弁護士も勤める。また医療法人の顧問弁護士など、医事法務についても手がけている。大の鉄道好きでもある。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする