「被告人にも味方が必要」幼いころからの思いを今も胸に、よりよい刑事弁護のあり方について研鑽を積む
虐げられている人に感じるシンパシー
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
子ども頃の私は人とコミュニケーションを取るのが苦手で、周囲に疎外感を抱くことがありました。幼少期に理解者がいないつらさを経験したからか、物心がついた頃から、虐げられている人にシンパシーを感じていました。例えば、刑事事件の被告人にも味方が必要ではないかと、幼いながらに考えていたんです。
将来は人の役に立つ仕事をしたい、困っている人や虐げられている人を救いたいと思い、弁護士を目指すようになりました。
ーーどんな学生時代でしたか?
高校では弓道同好会に入っていて、部活にしてもらうために活動したことが印象に残っています。「人数が多いのに、なぜ部活として認めてもらえないのか」という書類を作成して、学校に提言していました。今思えば、その頃から交渉ごとや書類作成が好きだったのかもしれません(笑)。
残念ながら在学中は部になりませんでしたが、卒業から2年後に部として正式に認められました。私が作成した書類も多少は役に立ったのではないかと思っています。できるかどうか考えるよりも、活動することが大事ということは、今でも思い続けています。
「喋る壁」として、依頼者の思いを受け止める
ーー注力している分野と、注力している理由についてお聞かせください。
刑事弁護に注力しています。弁護士になる前から取り組みたいと思っていた分野なので、今も変わらず、虐げられている人の味方でありたいと考えています。
日本の警察の捜査方法は、被疑者を追い詰めるような取り調べなど、いつまでも古い体質が残っていると感じます。過去に私が担当した事件でも、やっていないことを無理やり自白させられたり、人格を否定するようなことを言われた被疑者がいました。
そのような被疑者の権利を侵害するような捜査が行われないためにも、弁護士の役目を果たしたいと思いますし、なによりも、弁護士にしかできない分野なので、よりより刑事弁護のあり方について研鑽を積みながら取り組んでいます。
ーー仕事をする上で心がけていることはありますか?
依頼者に「寄り添いすぎない」ということです。弁護士である以上、依頼者に寄り添うことは大切です。しかし、法律は万能ではないので、すべての要求に答えることはできません。寄り添いすぎてできない約束をしてしまうと、結果的に依頼者を不幸にしてしまいます。
依頼者と接するときは自分を「喋る壁」とイメージしています。思っていることをすべてぶつけてもらう。それを受け止めた上で、解決策を検討するようにしています。
ーー事件にはどのような姿勢で取り組まれていますか?
どんな事件にも「見え方の違い」があって、それには毎回驚かされます。例えば喧嘩による傷害事件で、殴った回数やどちらが先に手を出したかなど、当事者の証言がまったく違うことがあります。事実は一つしかないはずなのに、双方の言ってることが違うのはなぜなんだろうということは、弁護士を続けていてよく思うことです。
裁判官であれば客観的な判断をするのでしょうが、弁護士の場合は一方当事者の代理人なので、客観的な判断だけではなく、当事者が納得いく解決を目指さなければなりません。私はどちらかが一方的に勝つというのが好きではなく、双方が納得して、互いに前に向かって進める解決を理想としています。そのために、当事者の見え方のギャップを埋める作業をするのですが、それがうまくいったときはうれしいですね。
これまで離婚事件をいくつか担当しましたけど、養育費の不払いなど、離婚後のトラブルがほとんどないのは、見え方の違いを解消することに尽力しているからではないかと思います。
刑事弁護を軸に障害者の総合的支援に取り組みたい
ーー休日はどのように過ごしていますか?
読書が好きなので、ジャンルを問わずいろいろな本を読んでいます。戦争の歴史に興味があり、歴史に関する小説や本を読むことが多いです。戦争の歴史を知ると、戦わないことが最善だと実感します。弁護士をしていると、戦いに勝たなければいけないこともありますが、平和的解決が一番だと教えられます。
また、学生時代に研修でお世話になった弁護士の先生に「弁護士は人の心が大事だから、小説を読みなさい」と言われたのをきっかけに、登場人物の考え方などを意識して小説を読むようになりました。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
注力している刑事弁護や相続、後見などの分野の専門性を高めていきたいと思っています。特に相続や財産管理は、今よりも早く事件処理できるように、正確さとスピードを高めていきたいです。
それと、障害者の支援にも取り組みたいと考えています。刑事事件の中には、知的障害などの障害がある人による事件があります。そのような事件の背景には、障害者への支援不足があるのではないかと思っています。刑事弁護だけでなく、福祉的な支援、財産管理などの後見など、総合的な支援を行っていきたいです。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
私のことを「壁」だと思って、悩みをぶつけてください。話す内容がまとまっていなくても結構です。こちらのリアクションを気にする必要もありません。すべて受け止めますので、話したいことをぶつけに来てください。