法律という武器で依頼者を守りたい「話すだけでも気持ちは落ち着く。閉じこもらず、一歩外に踏み出して」
「トラブルを解決できる武器がほしい」
ーー弁護士を目指した理由やきっかけを教えてください。
中学生の頃から、将来は弁護士になりたいと思っていました。というのも、トラブルが嫌いだったんです。辛い気持ちになるニュースとか、人間関係のいざこざを見聞きするとモヤモヤするタイプで。「トラブルを自分で解決できる知識と力があれば、大変な目にあっても怖くない」「家族や大切な人が困ったことになっても、私の力で解決できる武器を持ちたい」。そう思って、弁護士を目指しました。
ーー大学に入った当初から司法試験の勉強を始めていたのですか。
私の大学は、1年生から司法試験予備校に行くのが普通という雰囲気があって、半分くらいの人が通っていました。私も1年生から予備校に入って、一応、受験勉強は始めたんですけど…。本腰が入ったのは3年生になってロースクール受験を控えるようになってからですね。
ーー学生時代に、アルバイトやサークル活動はしていましたか。
コンビニでバイトしていました。高校生の頃は全くバイトしたことがなかったので、バイト初心者でも気軽にできるのはコンビニかなと。結局4年間続けました。
サークルは、みんなで法律の勉強をするサークルで、まあ半分は遊びです。それなりに勉強してそれなりに飲んで、楽しかったです。
ーー今の事務所に所属するまでの経緯を教えてください。
弁護士になった当初は、関内にある法律事務所で働いていました。4年目になって、そろそろ独立という時期に司法修習の同期2人が開いた事務所に空席があるということで、入所しました。
ーー共同代表という立場になって、自由度は増しましたか。
すごく増しましたね。3人とも同期で、共同代表という立場も同じなので、仕事がしやすいです。事件の方針についてよく意見交換をしますし、フラットな関係です。
「こんなこと」と思っても遠慮なく話して
ーー注力分野を教えてください。
件数が多いのは離婚です。最近は使用者側の労働事件にも注力しています。使用者側の事件は前の事務所でも手がけていたのと、今年に入ってから立て続けに依頼がきたこともあって、今まで以上に力を入れたいと思っています。
ーー事務所の女性弁護士は先生お一人ですが、女性からの相談が多いですか。
そうでもなくて、男女比は半々です。多分、弁護士に依頼するときってある程度覚悟を決めているので、話しやすさよりも、自分の希望を形にしてくれるかどうかを優先して選んでいる方が多いのかなと思います。「女性弁護士じゃないと」というフィルターがかかっている方は、案外少ない印象です。
ただ、特に離婚事件はプライベートな話を結構するので、女性同士のほうがリラックスして打ち明けやすい方もいると思います。
ーー弁護士ドットコムのプロフィールページに、「こんなこと弁護士さんにお願いしていいんですか」という声をよく聞くと書かれていました。依頼者が思う「こんなこと」というのは、具体的にどんな相談ですか。
離婚事件だと、役所の手続きの仕方をよく聞かれます。「どのタイミングで住民票を分けますか」とか。児童手当の受給について、「今は夫の口座に入金されているけど、いつから移せますか」と聞かれたこともあります。
離婚後に必要な手続きについては、区役所のホームページを印刷したものや裁判所の資料を渡したりしますが、ただ渡すだけではなくて、重要なところにマーカーを引いたり、口頭でも詳しく説明するようにしています。「わからないことがあればいつでも質問してください」とも伝えています。
ーー手続きのサポートまでしてもらえるのは心強いですね。
依頼者からすると、離婚がようやく決まってほっとしているところに、書類だけ渡されて「あとは自分でやってください」と言われたら戸惑うと思うんです。離婚が成立したら終わりではなく、その後の手続きも早く済ませて、新しい生活をスムーズに始めていただきたいと思っています。
依頼者が思う「こんなこと」に関してもう1つ言うと、夫婦が不和になった経過は、何でも遠慮なく話してほしいです。当事者にとっては大したことではなくても、「それは裁判所に伝えたほうがいい話だよ」という場合もあるので、ぜひ、詳しく聞かせてください。愚痴レベルのことでも言ってくれた方が、こちらとしては助かります。
ーー依頼者にとっては些細なことでも、弁護士から見ると重要な場合があるのですね。
はい。裁判で使える材料かどうかはさておき、ちゃんと経過を聞いておかないと、妻側が思っていた経過と夫側が思っていた経過が噛み合わなくなることがあるんです。後から擦り合わせようとすると「じゃあ最初は嘘ついてたんですか?」と相手方に疑われかねないので、小さなことでも遠慮なく話してもらって、事実関係に齟齬がないようにしたほうがいいと思います。後になって軌道修正するのはけっこう大変なので。
ーー弁護士として活動してきた中で、印象的だったエピソードを教えてください。
婚姻費用(編注:別居中に配偶者から支払ってもらえる生活費)が決まるまでに1年かかった事件は印象的でした。1年間、婚姻費用で揉めて、最終的には裁判所が審判で決めてくれました。
1年間も揉めて相手が疲れていたせいか、婚姻費用が決まった後、離婚はかなりスムーズに決まりました。
財産分与も、本来ならけっこう面倒なケースでしたが、私のほうで「こういう計算で分けますよ。いいですね」と説明したら、二つ返事で決着がついて。結果的にはうまくいってよかったなと思った案件です。
金魚が好き
ーー休日はどのようにお過ごしですか。
家事をして、録り溜めたテレビ番組を見て、食事は平日よりちゃんと作りますね。 あとはアクアリウム水槽の掃除をします。
ーーご趣味はなんですか。
アクアリウムが好きです。水槽が2つあって、1つは金魚、もう1つはネオンテトラとか熱帯魚用です。
金魚は子どもの頃にやった金魚すくいからずっとハマっていて、20年くらい飼い続けています。弁護士会のホームページに掲載されるコラムに金魚のことを書いたら、お客さんに「先生、金魚飼ってるんですね」「あそこの金魚屋さん行くんですね」って言われて、意外と読んでもらえてるんだなと思いました。
なかなか同志を見つけられない趣味なので、そこだけはちょっと寂しいんですけどね。 金魚屋さんがお客さんで来てくれたらとっても嬉しいですね!
ーー今後の展望をお聞かせください。
今後は、使用者側の労働事件に力を入れようと思っています。日本には小さい企業が多いんですが、そういう企業に対して、正しい法律知識や、労働者とトラブルになったときに傷を最小限に抑えるノウハウを提供したいです。
中小企業は裸で野に放たれているのも同然なので、法律によって少しでも武装をさせてあげることが企業のためになると思います。理想形を押し付けるのではなくて、その企業が求めている形で提供できるようになることが目標です。
ーートラブルを抱えて悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
色々な方の法律相談を聞いてきて思うのは、その方が抱えているトラブルは、実は小さいというか、法律的には簡単に解決できることが多いんですね。問題を一つ一つ解決していけば、トラブルの出口が見えてくるのですが、解決方法を知らないと、目の前が真っ暗になってしまうのだと思います。
悩みごとがあれば、まず人に相談することがどんなときでも大事だと思います。法律的な問題なら、弁護士が「それはこういう問題でこういう解決方法がありますよ」とアドバイスするので、ぜひ相談してください。
一時的かもしれないけれど、話すだけでも気持ちは落ち着きます。1人で悩んで家に閉じこもるより、外に出て、1回でもいいから法律相談に行ってみてほしいです。もちろん、「あまりうまく話せなかった」「弁護士と合わなかった」ということは十分ありえます。でも、人と人とに相性があるのは仕方のないことなので、1回相談してダメでも、臆せずに2人目、3人目の弁護士を訪ねて、その中で自分に合う弁護士を見つけてもらえたらなと思っています。