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「余震怖い」避難所の人口、夜は2倍…救援活動の医師が見た「熊本地震」
地震で土砂崩れが起きた南阿蘇村(出典、国土地理院)

「余震怖い」避難所の人口、夜は2倍…救援活動の医師が見た「熊本地震」

熊本を中心に起こった大規模な地震。4 月16日未明の「本震」で震度6強を記録した南阿蘇村では、全長約200mの阿蘇大橋の崩落や、死者行方不明者が20人近くになるなど大きな被害が出ている。

現地の避難所はどのような様子なのか。南阿蘇村で医療救援活動を行う福岡徳洲会病院(福岡県春日市)の医師・田中雄基さん(28)に聞いた。

●あらわな山肌に衝撃

今年で5年目になる田中さんは救急課の医師。徳洲会グループを中心とした、災害医療支援を行うNPO「TMAT」の一員として、およそ20人のメンバーと南阿蘇村の避難所を回っている。

本震直後の16日朝にTMATに誘われ、二つ返事で参加を決めた。

「東日本大震災のときは学生でしたし、広島市の土砂災害(2014年)でも経験不足で手を挙げられませんでした。しかし、今なら役に立てると思いました」

午後6時半ごろには物資ととも救急車で出発した。大分県側から被害があった自治体を回り、約5時間かけて南阿蘇村に着いた。

「出発が夜だったこともあり、ところどころ自衛隊の方が立っている以外は、いつもと変わらない風景だと思っていました」

しかし翌朝、田中さんは愕然とする。「土砂崩れで山肌があらわになっていて、衝撃を受けました」

●「早く安心して眠れる日が来てほしい」

TMATのメンバーたちは、避難所になっている体育館の一室や救急車の中で寝泊まりしている。活動は午前6時45分から。

「理学療法士や看護師が、朝一番でエコノミークラス症候群を防ぐ体操をしています。そこからエリアにある約10カ所の避難所を回って、だいたい午後9時頃までが診療。救急や要望があれば、それ以降も対応しています」

南阿蘇のチームでは、3〜4人の医師で1日150人ほどを診療する。ケガのほか、発熱や嘔吐下痢、もともとの持病という場合もあるそうだ。中には急病のため、ヘリコプターで地域外に搬送された人もいたという。

「それでも、全体的に見て避難者には元気があると感じます。ただ、いつまで続くかはわかりません。余震が多く、ゆっくり寝られる環境ではありません。集団生活なのも大きなストレスでしょう。夜は寒いので、風邪が蔓延しないかも心配です」

避難者からは「余震が怖い」という話をよく聞くそうだ。熊本地震では大きな揺れが夜に起きていることから、昼間は自宅で過ごし、夜だけ避難所へ来る人や、避難所で生活しながら車中泊という人が少なくない。田中さんは「避難所にいる人は日中300〜400人ほどですが、夜になると倍くらいになります。早くみんなが安心して眠れる日が来てほしいです」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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