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2018年01月31日 17時05分

仮想通貨の管理、新たな法規制は必要? コインチェック問題、弁護士たちの意見

仮想通貨の管理、新たな法規制は必要? コインチェック問題、弁護士たちの意見
コインチェックのHP

特定の国家による価値の保証がない「仮想通貨」を巡り、大きな事件が起きました。

2018年1月26日に、仮想通貨の取引所を運営するベンチャー企業「コインチェック」(本社:東京都渋谷区)において、不正なアクセスがあり、仮想通貨の1種である「NEM(ネム)」について、約580億円相当(流出時のレート換算)が外部に不正送金されました。被害者は約26万人とされています。

問題の原因として報じられているのは、コインチェック社の仮想通貨の管理方法です。仮想通貨については、大きく分けて管理方法が2つあるとされています。1つは外部のネットワークから遮断して管理する「コールドウォレット」、もう1つは外部のネットワークとつないだ状態で管理する「ホットウォレット」です。今回、不正送金が起きた「NEM」は、「ホットウォレット」による管理で、ネットワークとつながっていたため、不正アクセスを許し、流出につながりました。

コインチェック社も加入する業界団体「日本ブロックチェーン協会」には、外部から遮断された管理方法の整備を含めた自主規制基準がありましたが、コインチェック社の対応が間に合っておらず、今回の事態にいたった可能性が高いといえます。金融庁は、1月29日付で、コインチェック社に対して、資金決済法に基づく業務改善命令を出しました。

業界団体では、会員に対して、管理上の対策やサイバー攻撃に備えるセキュリティ対策を求めることに加え、より厳格な自主規制を制定していく流れになっています。ただ、日本においては、現状、管理やセキュリティ対策について、法的な規制はない状況です。

今回、弁護士ドットコムに登録されている弁護士に、仮想通貨の管理方法やセキュリティ対策における法規制の必要性について意見を聞きました。

●13人全員が「法規制必要」

以下の2つの選択肢から回答を求めたところ、13人の弁護士から回答が寄せられました。

(1)必要と考える→13票

(2)不要と考える→0票

回答数は少ないながらも、全員が「法規制は必要」との見解でした。

弁護士からは、「技術の発展を促すという観点からの規制を設けることには賛成」「仮想通貨がマネーロンダリングなどに悪用されることを防ぐための規制に加え、詐欺商法などの犯罪をしっかり取り締まることなどによる消費者保護と、技術革新への対応との均衡をうまくとることが必要」との意見があった。

現状、金融庁が一定の監督権限を持つことを踏まえて、「法律による追加の規制ではなく、金融庁の監督の充実化により対応するべきである」との声もあった。

回答の自由記述欄で意見を表明した弁護士4人のコメント(全文)を以下で紹介します。

このニュースに対する弁護士の回答

※2018年01月29日から2018年01月31日での間に集計された回答です。

アンケート結果

  • 投票1 必要と考える

    13

  • 投票2 不要と考える

    0

回答一覧

回答の絞込み

投票:必要と考える

被害者は約26万人とされている。多数の被害者である。
本件問題の原因は、コインチェック社の仮想通貨の管理方法でとのことである。本件のコインチェック社も加入する業界団体「日本ブロックチェーン協会」は、外部から遮断された管理方法の整備を含めた自主規制基準があったということであるが、コインチェック社の対応が間に合っておらず、被害者が約26万人と多数に上っている。このような事態にいたった以上、自主規制基準では不十分であり、これから被害者を出さないようにするため、管理についての法規制は必要と考える。

2018年01月29日 17時47分

回答番号 1272
投票:必要と考える

個人的には、仮想通貨の背景にある分散型台帳技術自体の有用性は認めるべきと考えています。ですので、当該技術の発展を促すという観点からの規制を設けることには賛成です。
また、現時点では、仮想通貨は、ICO(Initial Coin Offering:ブロックチェーンなどの分散型台帳上で固有のトークンを発行する企業または団体が、インターネット上でトークンを売り出し、その対価として仮想通貨または法定通貨の支払を受けることによって行う資金調達方法)といった資金調達方法にも用いられています。ですので、仮想通貨の管理方法やセキュリティ対策における法規制のみならず、資金調達方法という観点からの更なる整備を行い、分散型台帳技術の発展につながって欲しいと考えています。

2018年01月29日 18時55分

回答番号 1273
投票:必要と考える

 意外と知られていない事実であるが、日本は世界的に見ても、仮想通貨の安全な取引を行うための法規制については、先端的な整備が実施されている国である。
 仮想通貨の管理やセキュリティーについても、2017年に資金決済法等の法改正が他国に先んじて実施されたほか、仮想通貨交換業者に関する内閣府令によって一定の規制がなされていた。仮想通貨のハッキングによる盗難については、仮想通貨法制の整備において、一定の議論がされたうえで法律が制定されているはずである。その意味で、新規に法律の改正が必要かといえば、現時点では様子見の時期にあるものと考えている。ただし、行政レベルでのより充実した対応は必要である。

 今回、コインチェックの被害対象になっているNEMという仮想通貨は、もっとも主流なコインであるビットコインよりも、後出の仮想通貨である。現在、世界には既に1000を超える仮想通貨が存在するといわれており、今後も、無数の仮想通貨が誕生することが予想される。この状況で、法律によってすべての仮想通貨に適切な規制の網をかぶせることは不可能に近く、仮想通貨の発展を阻害する恐れもある。かといって、仮想通貨事業者の自主規制に任せるのも、実効性という観点から不十分である。

 現在、資金決済法等の仮想通貨法制において、金融庁における仮想通貨取引所に対する監督権限が付与されていることから、この権限を有効活用するべきである。
 今回のコインチェックのNEMの盗難は、仮想通貨交換業者として申請をすることで可能になる「みなし業者」という過渡的な営業状態において発生した。本来であれば、正式な認証のない「みなし業者」なのであれば、より慎重に業務の遂行状態を監視するべきであった。コールドウォレットでの管理するように、金融庁が事前に行政指導を行っていれば、今回の件は防止できたかもしれない。NEMのような比較的新しい仮想通貨については、技術上の問題から、オフラインでの管理が後手に回ることが考えられるため、対応の遅れている仮想通貨取引業者については、行政の側から早期に対応ができるような行政指導を実施する必要がある。しかしながら、現状の金融庁においては、そこまでの対応をすることができなかったようである。仮想通貨の急激な発展のため、対応が及ばなかったことは、やむ得なかったかもしれないが、今回のような事態を防止するためには、より金融庁における人材や装備を充実させ、機動的な対応を可能にする体制整備をすることがもっとも適切であると考える。
 仮想通貨の急速な発展と進化に機動的に対応するためには、法律による追加の規制ではなく、金融庁の監督の充実化により対応するべきである。

2018年01月29日 20時32分

回答番号 1275
投票:必要と考える

仮想通貨は、安い手数料で送金ができるなどの利便性がある一方で、通貨価値の急変動や投資トラブルなどの問題もはらむものです。その意味において、法規制は必要です。ただ、リスクがあるからといって、規制でがんじがらめにしてしまえば、経済の活性化を阻害してしまいます。規制はあるけれど仮想通貨に対して寛容であるからこそ、我が国は世界最大の仮想通貨市場となっているわけです。
仮想通貨が資金洗浄(マネーロンダリング)などに悪用されることを防ぐための規制をすることに加え、詐欺商法などの犯罪をしっかり取り締まることなどによる消費者保護と、技術革新への対応との均衡をうまくとることが必要です。新しい技術が健全に発展し、経済活性化にもつながるように目配りすることが重要だと思います。

2018年01月30日 17時13分

回答番号 1283

編集後記

弁護士ドットコムニュース編集部

仮想通貨は、安全性を含めて、十分な議論がなされているとは言えません。一方で、技術革新は、かつてないスピードで進んでいて、経済活性化の側面から、仮想通貨に期待する声も根強いといえます。

将来的に仮想通貨がどのように扱われるのか見通すことは難しい状況ですが、法整備を含めた議論が深まっていくことに期待したいと思います。

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