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2017年07月06日 09時46分

隣のラーメン店からキツーい「トンコツ臭」…対応してくれない場合、どうすれば?

隣のラーメン店からキツーい「トンコツ臭」…対応してくれない場合、どうすれば?
画像はイメージです。

自宅近くに飲食店がオープンし、臭いに悩まされているーー。インターネットの掲示板やQ&Aサイトには、「住宅地に飲食店を作っていいの?」、「どうしたら解決できる?」と住宅街にできた飲食店の臭いに関する相談が寄せられています。

具体的には、「家の前に豚骨ラーメン屋が出来て臭くて窓開けられないんだが」、「家の真裏に飲食店があり、換気扇が窓と並んでいる。ニンニクを炒めた臭いが耐えられない」や「隣の空き店舗にネパール料理店が入り、強烈な香辛料と油の臭いに悩まされている」、「自宅が隣のカレー屋さんの匂いで充満し、洗濯物も自宅に干している」といった投稿がありました。

直接店側に対応を求めても動いてくれなかった場合、どのように対処したらいいのでしょうか。例えば、マンションの1階に飲食店が入居している場合と、全く別の建物に飲食店がある場合とで対応に違いはあるのでしょうか。藤田城治弁護士に聞きました。

●臭いを発生させること自体が、直ちに違法になるわけではない

豚骨ラーメン、ニンニク料理、香辛料たっぷりのエスニック料理は、好物なのですが、そんな私でもこの臭いを、四六時中、かがされるのは、たまらないですね。ましてや苦手な人はなおさらでしょう。

実際に、飲食店からの臭いで、不快感にとどまらず、不眠、うつ病になるという健康被害を被ったという例もありますし、洗濯物が干せない、洋服店の商品に臭いが移って売り物にならなくなったという財産的な被害が発生したことで裁判になった例もあります。

ただ、悪臭により上記のような被害が発生したとしても、臭いを発生させること、それ自体が直ちに違法行為になるわけではありません。また、飲食店を営む以上、一定の臭いの発生は避けられませんし、住宅街で飲食店を営業することも、一定の面積以内であれば禁止されていません。

●定められた「悪臭の基準」を超えるかどうかがポイント

そこで、「受忍限度を超える悪臭の排出」行為が違法行為と判断されることになります。受忍限度を超えるかどうかの判断要素として、一番重要なのが、悪臭防止法や各自治体での条例で定められた悪臭の基準を超過することです。

「臭い」の数値基準としては、

(1)臭気強度(臭気測定士が0~5までの6段階評価で臭いを評価した数値)

(2)臭気濃度(臭気を何倍まで希釈したら臭いを感じなくなるかで定める数値)

(3)臭気指数(臭気濃度の対数を10倍した数字)

があります。臭気指数が規制の基準となることが多いです。

このほかに、悪臭を排出している事業の公益性や、これまでの交渉の経過等も総合的に考慮して受忍限度を超えるかどうかを判断することになります。

規制基準を超える悪臭でも、ゴミ処理場など公益性が強い事業であれば受忍限度内という判断が出やすくなりますし、規制基準に足りなかった場合でも、排出の態様(意図的に排出しているとか、苦情の一切を無視してきたなどの事情)を考慮して受忍限度を超えることになる可能性もあります。

●悪臭を放つお店に「営業の停止」を求めるのはハードルが高い

受忍限度を超える悪臭により健康被害や物的損害を受けたときには、金銭的な賠償を求めることは当然可能です。しかし、悪臭被害は、その根本を解決しないと今後も被害が発生し続けるので、金銭解決だけでは済まない問題といえます。ただ、ただちに「営業の停止」をさせることは相手の事業を絶つことにもなるので、裁判所が認めるのは非常にハードルが高いのが実情です。

飲食店からの悪臭であれば、換気扇の位置・高さを変えたえり、消臭装置の設置などで、だいぶ緩和されることもありますので、悪臭被害の防止・緩和に適切な方法を柔軟に検討して解決を求めることになります。

●話し合いで解決しない場合は、自治体に苦情を

手順としては、まずは相手方に申し入れて話し合いを求めることになるでしょう。話し合いで解決が付かない場合には、各自治体の環境課などの担当窓口への苦情申し立てという方法があります。悪臭の規制基準に違反している場合には、行政指導が入ることがあります。さらに各都道府県が設置する「公害審査会」に調停・あっせん・仲裁手続を利用することも可能です。

行政サービス以外には、弁護士会で設置している仲裁手続の利用、裁判所の民事調停手続を利用することも考えられます。それでも話し合いの余地がなければ、裁判所の裁判手続での解決を求めることになります。

●同じマンション内であれば、行為の停止を求められる

悪臭の発生源、そして被害者が同じマンションのテナントと住民である場合には、区分所有法6条1項の「共同の利益に反する行為」であるとして、行為の停止を求めることができます。さらに「共同生活上の支障が著しい」場合には、管理組合の決議に基づいて、裁判手続を通じて、物件の使用禁止や引き渡しを求めることもできます。

<補足>藤田弁護士によると、東京の三弁護士会が共同で「公害・環境何でも110番」を開催している。毎月第2・第4水曜日の午前10時〜12時で、電話番号は03・3581・5379。<http://niben.jp/pdf/soudan/0775_001_new.pdf>公害・環境問題に取り組む弁護士が対応し、電話相談・初回の面接相談は無料だという。

(弁護士ドットコムニュース)

藤田 城治弁護士
第二東京弁護士会・環境保全委員会、関東弁護士会連合会・環境保全委員会委員
個人・企業を対象とした各種民事・刑事事件を扱っているほか、事務所の弁護士各自が野生動物・自然環境の保護にも取り組み、イリオモテヤマネコ等の保護活動を行っている認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金(http://www.jtef.jp/)をサポートしている。
所在エリア:
  1. 東京
  2. 中央区

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