- 婚姻費用
夫が住宅ローン約10万円を婚姻費用から一方的に控除。住居費控除を月額約2万2,000円に抑え、調停で解決した事例
相談前の状況
事例の概要
依頼者: 妻側(短時間のパート勤務)
家族構成: 妻と子ども
別居後の状況: 妻子は夫名義の自宅に居住
住宅ローン: 夫名義、月額返済額約10万円
主な争点: 住宅ローンの負担を婚姻費用の算定でどの程度考慮するか
解決方法: 婚姻費用分担調停
解決結果: 住宅ローン全額の控除は認めず、住居費相当額を月額22,247円として婚姻費用を算定し、調停成立
相談者は、夫と別居し、子どもとともに夫名義の自宅で生活していました。
子どもが病気を抱えていたため、妻は長時間働くことが難しく、短時間のパート勤務で生活していました。
別居当初は、夫婦間で合意した生活費が支払われていましたが、数か月後、夫は住宅ローンの返済額を全額差し引くと主張し、一方的に送金額を減らしてきました。
住宅ローンは毎月10万円弱に上り、妻子の生活費は大幅に不足することになりました。
妻としても、自分たちが使用する電気・ガスなどの費用を負担することには異存がありませんでしたが、夫名義の住宅ローン全額を生活費から差し引かれることには納得できませんでした。
子どもの病気のために勤務時間を増やすことも難しく、生活を維持できなくなったことから、当事務所に相談されました。
解決への流れ
当事務所では、夫が住宅ローンを負担しているとしても、その返済額全額を婚姻費用から控除することは相当ではないと主張しました。
住宅ローンの返済には、住居費としての側面だけでなく、夫名義の不動産の資産形成という側面もあります。
一方、妻子が夫名義の自宅に居住し、家賃を支払っていないことについては、婚姻費用の算定において一定の考慮が必要です。
そこで、婚姻費用算定表の基礎となる標準的な住居関係費を踏まえ、本件で控除すべき金額は、住宅ローン全額ではなく月額22,247円が相当であると主張しました。
また、妻は子どもの病気への対応が必要なため、短時間のパート勤務しかできない事情も説明し、妻子の生活状況を踏まえた婚姻費用の算定を求めました。
調停委員会も妻側の主張が適切であるとの見解を示し、夫側に対して働きかけを行いました。
その結果、夫による住宅ローン全額の控除という主張は採用されず、住居費相当額を月額22,247円として婚姻費用を算定する内容で調停が成立しました。
夫の一方的な減額によって生活に困っていた妻子について、適切な婚姻費用を確保することができました。
須山 幸一郎 弁護士からのコメント
別居後、妻と子どもが夫名義の自宅に住み続け、夫が住宅ローンを返済しているケースは少なくありません。
このような場合、夫から「住宅ローンを支払っているのだから、その全額を婚姻費用から差し引く」と主張されることがあります。
しかし、住宅ローンの返済額が、そのまま婚姻費用から控除できる金額になるわけではありません。
住宅ローンの返済には不動産の資産形成という側面もあるため、妻子の居住状況や収入、標準的な住居関係費などを踏まえて、適切な控除額を検討する必要があります。
本件では、毎月10万円弱の住宅ローン全額を控除する夫の主張に対し、月額22,247円の控除が相当であると主張し、調停委員会の理解も得て解決することができました。
また、妻は子どもの病気のため短時間のパート勤務をしており、生活費の減額は妻子の生活に大きな影響を及ぼしていました。
婚姻費用は、別居中の妻子の生活を支える重要なお金です。算定表だけでは判断しきれない事情がある場合には、個別の事情を丁寧に整理し、適切な金額を求めていくことが大切です。
当事務所では、住宅ローンの負担や子どもの教育費、妻の就労状況などが争点となる婚姻費用についても、具体的な事情を踏まえて対応しています。
別居後、夫から生活費を一方的に減額された方や、住宅ローンを理由に婚姻費用の減額を求められている方も、ご相談ください。
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