社内の人間と同じスタンスでこまめに報連相〜密な連絡で信頼関係を結び、トラブルを防ぐ
企業法務は法務部のアウトソーシング化。外部であって外部ではない
ーー企業法務に重点的に取り組んでいるそうですね。
所属している村松法律事務所が企業法務に強いこともあり、私も企業法務にかかわることが多いです。
企業法務というのは、企業内の法務部をアウトソーシングしているというイメージでとらえてもらうとわかりやすいでしょう。私は社外の人間ですが、内部にいる社員と同じ感覚で仕事をするようにしています。
たとえば、途中経過の報告はこまめにするよう努めています。迅速なレスポンスは、企業で起こる紛争において非常に重要なので、いつも以上に明確に「いつまでに返事をします」という期限を設けて仕事をすすめます。
もし何か事情が変わってその期限までに間に合わないときは、「間に合わない」とわかった時点で早急にその理由と現在の進捗状況、今後の見通しを伝えます。
いわゆる「報連相」が信頼関係を作るのは、社内も社外も同じです。信頼関係ができて、密な連絡を取り合うようになれば、いろいろな相談も早めにしてもらえます。そうした小さな相談が、結果的に大きなトラブルの芽を摘むことになるのです。
まだ顕在化しないだけでトラブルの種はどこにでもある
ーー企業としては、実際にトラブルが起きないと、顧問弁護士の必要性を感じにくいのではないでしょうか。
そう考える企業も少なくないと思います。ただ、トラブルは顕在化していないだけで、内在しているという事例はたくさんあります。そしてそれが非常に大きなリスクをはらんでいることも珍しくないのです。
たとえば個人事業主の方で契約書を交わさずに仕事を受注発注しているとか、契約書はあるけれどどこかほかの会社のものをそのまま使っているとか、内容が法令違反の契約書をそうと知らずに使っているとか…そうした事例は実際によくあります。
これらがもとでトラブルが起これば大ごとになります。それを大ごとにしないように、トラブルが起きたとしても小さい状態で解決するために、顧問契約をしないとしても、契約書で言えば作成時に内容をチェックしておくといった、予防という意味でもっと弁護士を活用していただきたいと思います。
トラブルは初期の対応を誤るとあっという間に大きくなります。訴訟になって勝ったとしても、企業イメージに傷がついてしまったら、それを挽回するのは並大抵のことではありません。徹底的に白黒つければいいというものではなく、どう円満に近づけて解決するかが重要なので、小さな不安、小さな火種の段階で弁護士に任せる方がよいでしょう。
自己判断で「そうなるもの」と決めてかかるのはリスク大!
ーー昨今、ネットなどで問題にどう対処すべきかを調べて、自分で何とかしようとしてしまう人も多いとか。
自分で調べるという姿勢は大事ですし、それも権利意識の高まりでいいことではあるのですが、ネットの世界にある情報はあまりに過多、あまりに玉石混淆です。よしんば似たような事例を見つけたとしても、その方の事例に当てはまるかどうかを判断するのは非常に難しいものがあります。
特殊な事例が出ていることも多く、その判例が一般的とは言えないことも。また「理屈ではそうでも立証が難しい」という事例もあります。
そうした点も踏まえて、ご自分で調べて「こうなるはず」と判断する前に、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は話をうかがいながら、時系列にそって状況を整理したり、矛盾している点を質問したりしますので、そこでご本人の記憶が呼び起こされて法的に重要なピースを保全することもできます。
集めなければいけない証拠などもわかりますし、何よりも自分一人で問題を抱え込まなくて済むというのは、心理的にも肉体的にも大きなストレスがなくなります。ぜひ「ちょっと聞いてみよう」というくらいの気楽さで、弁護士に相談していただければと思います。