「頑張ってきた人の頑張ってきた姿を全て受け止める」労働・刑事事件に注力し、法教育にも取り組む
「喧嘩を止める人」になりたい
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
世の中にある争いを少しでも減らしたい、喧嘩を止める人になりたい、という思いから、法に関わる仕事に就くことを目指し始めました。
弁護士ではなく裁判官を目指していた時期もありました。ただ、実際に弁護士として働き始めてからは、弁護士の方が裁判官よりも自分に合うと感じます。弁護士は、依頼者や、ときには相手方とも直接やりとりしながら、それぞれの譲れないところを探っていく中で、より深く人と関われることにやりがいを感じています。
ーー学生時代についてお聞かせください。
大学4年間は、明治大学の法律相談部に所属していました。顧問の弁護士が20人くらいおられ、その弁護士の指導を受けながら100件ほどの法律相談に対応しました。
高校時代は合唱をやっていて、全国大会に出場したこともあります。合唱は弁護士になってからもしばらく続けていました。司法研修所を卒業するときに、教官が弾くピアノに合わせて歌を披露したことはいい思い出です。
ーー注力分野を教えてください。
労働事件です。最初に入った事務所で労働事件の経験を多く積み、現在も注力しています。誰もがその道のプロとして働いているなかで、経営者や上司からプライドを傷つけられるのは苦しいことだと思います。その苦しみを解消するために、依頼者の思いをしっかりと聞き取り、法律に基づいて権利回復をはかることが、私の仕事だと考えています。
刑事事件にも力を入れています。連絡があればいつでもどこでも対応できるようにしていて、夜中の3時に接見に行ったこともありました。
ーー法教育にも取り組んでいるそうですね。
はい。小中高生に対して、法律や弁護士の仕事などをテーマに講演をしたりしています。これまで取り組んできた中で印象に残っているのは、高校でおこなった「国語的模擬裁判」の授業のお手伝いをさせて頂いた時のことです。森鴎外の「高瀬舟」という作品を法的な視点から読み解き、弟を殺した主人公がどのような罪に問われるのかを、模擬裁判の形式で議論しました。
2021年には、日弁連が主催する高校生を対象とした模擬裁判選手権で支援弁護士として関わりました。全国大会に出場する、ある高校の生徒たちに、刑事事件や裁判の手続きについて色々な話をさせて頂きました。
題材となったのが収賄事件で、とても難しいテーマでしたが、生徒たちはそれぞれが創意工夫を凝らし、検察官・弁護人役として、素晴らしい実演を披露してくれました。大会では金賞を受賞し、お礼に、ということで作ってくれた色紙は事務所に大切に飾っています。
今後は、生徒だけでなく社会科の先生方のサポートもできればと考えています。特に2022年からは高校で「公共」という教科が新しく導入され、労働問題や主権者教育について学ぶ授業が始まる予定です。労働事件を扱う弁護士として、授業で使える教材作りなどにも携わっていきたいです。
ーー弁護士としての仕事と法教育の仕事で、共通するところはありますか?
最初にお話しした「喧嘩を止める人になりたい」という目標に基づいているところです。
社会にはいろいろな人がいますから、どうしても争いは絶えません。でも本当は、相手を打ち負かしたり優劣をつけたりするのではなく、お互いに協力して社会生活を送れることが一番です。法は、そういう平和な社会をつくるための道具だと思います。
法には、現実の社会を動かし、よりよい社会に変える機能がある。法教育を通じて、そのことを子どもたちに伝えることにやりがいを感じます。
依頼者の頑張りを認め、肯定する。寄り添いから始まる弁護活動
ーー仕事をする上で心掛けていることを教えてください。
弁護士に会いに来る方は、精神的にダメージを負っている方がほとんどです。事務所に来て悩みを打ち明けることで、少しでも楽になり、気分が上向いた状態で帰ってほしい。そう思いながら対応しています。
特に労働事件では、相談者は、経営者や上司から精神的に傷つけられた状態で事務所に来ます。そのような方に対してまずすべきことは、誇りを取り戻してもらうことです。
どんなジャンルの仕事であれ、働いている人は、「プロフェッショナルな仕事をして人の役に立ちたい」「一流になりたい」という思いを持って仕事をしていると思います。その方がいかに仕事を頑張ってきたのかを必ず聞き、努力を肯定して気持ちに寄り添う。労働事件を手がけるうえで、私が特に大切にしていることです。
本人が努力してきたことや仕事ぶりをよく聞くことは、法的な権利を実現するためにも重要です。たとえば、能力不足を理由に解雇されたケースで職場復帰を求めるときには、本人から聞き取った内容をもとに、「これだけ努力して技能を高めてきたのだから、解雇されるのはおかしい」と具体的な証拠を示しながら主張していきます。
「依頼者に涙を流して帰らせるつもりはない」
ーープライベートについても伺います。休日はどのように過ごしていますか?
ドライブと銭湯巡りです。
忙しくて休みがなかなか取れないのですが、刑事事件の接見で遠方に行くことが多いので、仕事の合間に各地の銭湯を訪ねて心身をリフレッシュしています。
野球も好きで、話を振られたらいくらでも語れます(笑)。球場で観戦するよりも、テレビ中継を見て応援することが多いですね。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
暮らしのなかで発生する身近なトラブルに、きちんと対応できる弁護士であり続けたいです。
特に労働事件は、働いている人ならば誰しも直面する可能性があります。コロナの影響で相談件数も増えています。新しい制度などの情報をキャッチアップしながら、適切な事件処理に努めていきたいです。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
私のところに相談に来ていただいたお客様には、必ず、相談に来る前よりも少しでも楽な気持ちになって帰って頂きたいと考えております。
頑張ってきた方の、頑張ってきた姿を、必ず全て受け止めます。弁護士に相談することを怖がらず、むしろ「話せば気持ちが楽になる」と思って相談しに来てください。