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タカタ製「エアバッグ」問題でリコール続出――「完成車メーカー」にも責任があるの?
「リコール」はよく耳にする言葉だが、仕組みを知らない人は多いかもしれない

タカタ製「エアバッグ」問題でリコール続出――「完成車メーカー」にも責任があるの?

日本の自動車部品メーカー「タカタ」が製造したエアバッグに欠陥が見つかった問題が波紋を広げている。アメリカでは、タカタ製エアバッグの異常破裂が原因とみられる死亡事故が起き、社会問題に発展。自動車メーカーのホンダやマツダが全米でリコールをおこなうと発表している。

タカタ自身も12月24日、ステファン・ストッカー社長が取締役に退き、高田重久会長が社長を兼務する人事を発表。意思決定の迅速化を進めようとしている。

この問題は日本国内にも及び、すでに300万台を超える自動車がリコール対象となっている。自動車産業全体に大きな打撃を与える事態となりそうだが、そもそも「リコール」とは、どんな仕組みなのだろうか。また、自動車の部品に問題がある場合でも、「完成車メーカー」がリコールしないといけないのか。消費者問題にくわしい岡田崇弁護士に聞いた。

●「リコール対象の車種」はウェブサイトで確認できる

「一般的に、『リコール』とは、製品に欠陥が見つかったときに、製造者や輸入事業者などが製品の回収をおこなって、無償修理することをいいます」

岡田弁護士はこのように説明する。もっとも、自動車にかんしては、より細かく分類されているという。

「自動車については、次のようなリコールがあります。

(1)道路運送車両の保安基準に適合していなかったり、または適合しなくなるおそれがある状態のときのリコール

(2)道路運送車両の保安基準に規定はされていないが、不具合が発生した場合に安全の確保および環境の保全上看過できない状態のときの改善対策

(3)リコール届出や改善対策届出に該当しないような不具合で、商品性・品質の改善措置をおこなうサービスキャンペーン」

いずれの場合も、自動車メーカーには、国土交通省への届出が義務づけられているという。

「なお、自分の車がリコールの対象になっているかどうかは、国土交通省のウェブサイト(http://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/ )で確認することができます。問題となったタカタ製エアバックを搭載した車種についても、すでにリコールがおこなわれていることが確認できます」

●部品メーカーが「自動車の所有者」を把握するのは困難

なぜエアバッグを作った部品メーカーのタカタではなく、ホンダなどの完成車メーカーがリコールに乗り出しているのだろうか。

「部品メーカーの製品のために、完成品としての自動車が『保安基準』に適合しない可能性が出てくるからです。

また実際問題として、部品メーカーが自動車を保有している人を把握するのは困難でしょう」

自動車メーカーは、リコール対象の車種追加をあいついで発表している。こうした対応について、どう評価すべきだろうか。

「たとえばホンダでは、現在リコール対象になっていない車種にかんしても、法令上の根拠に基づかずに、自主的に無償で新品のエアバッグと取り換えて、異常破裂の原因を調べるようです(調査リコール)。消費者の安全・安心を確保するという見地からすれば、望ましい対応だといえます」

日本の製造業をリードする自動車産業。もし製品に欠陥があれば、人の命に関わる大問題に発展するだけに、迅速な対応が求められる。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

岡田 崇
岡田 崇(おかだ たかし)弁護士 岡田崇法律事務所
大阪弁護士会・消費者保護委員会元委員長

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