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「子どもを守る“神様”を買って」占い師に騙され、数十万円を支払った 返金は可能か?
画像はイメージです(keyphoto / PIXTA)

「子どもを守る“神様”を買って」占い師に騙され、数十万円を支払った 返金は可能か?

「奥さんが浮気している」「子どもを守るため」などと占い師に言われ、数十万円を失ったという相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者曰く、初めは占ってもらうだけでしたが、徐々に「神様」と呼ばれる高額な人形の購入を勧められるように。占い師は「奥さんが浮気している」「子どもを守る神様」「ただ私は助けてやろうと思ってるだけ」などと言い「買わなければ不幸になる」と思い込まされた相談者は現金で数十万円を支払いました。

しかし、家族との仲が上手くいかなくなり「全く効果がない」と霊感占い師に詰め寄ると、今度はおまじないを勧めてきたそうです。そこで初めて「おかしいのでは」と気がついたといいます。「被害者は他にも多数いるようです。インチキ占い師から返金してもらいたい」と語る相談者はどのような行動を取れば良いのでしょうか。大村真司弁護士に聞きました。

●明確な線引きはない

——いわゆる「占い」と霊感商法にあたる悪質な占いとの違いはあるのでしょうか?

占いというのは、科学的な根拠が説明できないのが普通ですし、そういうものだという理解が一般的ではないかと思います。それが分かった上で有料でしてもらうわけですから、結果に責任を持ってもらう筋のものではありません。

真面目な占い師は、超自然的なものを信じたい心情を利用しつつ、本人のことを考えたアドバイスを行いますが、しかしこの心情は、占い師自身の利益を図るために利用することもできるわけです。

占い師も職業である以上、一定の収入を得ることは肯定されます。その方法として、物品を販売するケースがあったとしても、それだけで違法とは言えません。したがって、悪質な占いであるかどうかと言うのは多分に程度問題で、明確な線引きがあるわけではないと思います。

●法的な責任は問えるのか

——民事や刑事で法的な責任を問う事はできるのでしょうか?

民法や消費者契約法などにより契約が取り消せる(詐欺や断定的判断の提供など)、あるいは故意または過失に基づく権利侵害があり損害賠償請求できる場合に、返金を受けることができます。しかしこの立証は決して簡単ではありません。個別の事案を掘り下げて分析し、問題点を指摘していくほかありません。

占いではありませんが、旧統一教会の霊感商法が社会問題化し、多くの返金を命じる判決があるのは、あまりにも多額かつ多数人の被害があり、かつ手口が共通していたために、搾取の構造が明らかになったことが大きいと思います。

プロフィール

大村 真司
大村 真司(おおむら しんじ)弁護士 大村法律事務所
広島弁護士会所属。広島弁護士会 非弁・業務広告調査委員会委員長、消費者委員会委員、国際交流委員会副委員長、子どもの権利委員会委員

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