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「一緒にリベンジするわよ!」ダブル不倫のサレ妻、相手サレ夫に協力要請…問題ない?
画像はイメージです(saki / PIXTA)

「一緒にリベンジするわよ!」ダブル不倫のサレ妻、相手サレ夫に協力要請…問題ない?

不倫された者同士で協力して不貞の証拠を集めたい——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は、夫の不倫の証拠を集めたいと考えています。不倫相手の女性はすでに離婚しており、元夫の男性が子どもを引き取っていますが、彼は不倫の事実をいまだに知らないそうです。

そこで相談者としては今後の慰謝料請求や仮に離婚することになった場合に備え、男性と情報共有して不貞の証拠を集めたいようです。

そのためには不倫の事実をまず知らせる必要がありますが、伝えても問題ないのでしょうか。近藤美香弁護士に聞きました。

●協力して集めた証拠は裁判で利用可能

——ダブル不倫をされた者同士で協力して証拠を集めても問題ないでしょうか。

違法な方法で証拠を収集しない限り、法的な問題はありません。ただし、不倫の被害者同士といっても、それぞれの家庭の事情は異なりますので、相手の状況や立場に配慮することが必要だと思います。

——協力して証拠を集めるという事例はよくあるのでしょうか。

ダブル不倫自体は珍しくありませんが、不倫された者同士が協力して証拠を集めるような事例は珍しいと思います。

そもそも、不倫の証拠を確保することは、簡単ではありません。配偶者が不倫していることが分かる証拠がある状況でも、不倫相手の個人情報(フルネーム・住所・電話番号など)が分からない場合も少なくありません。

したがって、不倫の証拠は確保していないが、不倫相手の配偶者の個人情報は知っているという状況は多くないと思われます。

一方で、夫婦同士が知り合いであったり、同じコミュニティに属しているような場合は、不倫された者同士が協力し合うこともあり得ると思います。本件もこのような状況なのかもしれませんね。

——仮に協力して証拠を集めた場合、裁判などで利用することは可能なのでしょうか。      違法な方法で収集した証拠は裁判で制限される可能性がありますが、不貞相手の配偶者と協力したことを理由に制限されることはありません。したがって、裁判手続きで利用することは可能です。

●場合によっては「名誉毀損やプライバシーの侵害となり得る」

——協力する前提として配偶者が不倫したという事実を知らずに離婚した相手に、不倫の事実を知らせる必要がありますが、伝えることは法的に問題ないのでしょうか。    まず、当然ですが、不倫の事実を名誉毀損やプライバシーの侵害となり得るような方法で知らせるのは問題があります。

しかし、元夫の男性との人間関係次第ですが、個人的に相談を持ち掛ける過程で、必要な範囲で不倫の事実を知らせること自体については、法的に問題ないと言える場合が多いと思います。

今回のケースでは、男性は不倫の事実を知らずに既に離婚しているとのことですので、不倫に関する情報を持っている可能性は小さいと考えられます。また、離婚した後に、離婚前の不貞行為の証拠を収集するのも非常に難しいはずです。

それにもかかわらず、何も知らずに離婚して一人で育児をしている男性に対して、あえて元妻が不倫していたことを知らせることは、男性を傷つけるだけになる可能性があります。

もっとも、相談者と面識があり、不倫の事実を知らせる方がいいと考えられる事情がある場合(たとえば男性が元妻の不貞行為を疑っている場合)や、相互に協力することで互いにメリットがある場合は、伝えることを検討しても良いのではないでしょうか。

プロフィール

近藤 美香
近藤 美香(こんどう みか)弁護士 エトワール法律事務所
弁護士登録直後から大手弁護士法人にて500件以上の離婚・不倫慰謝料問題の解決に関与。夫婦カウンセラー資格保有。これまでのキャリアを生かし、独立後も引き続きこれらの問題に注力しています。

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