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労働弁護団、「憲法改悪に反対」初の声明 発議・国民投票を警戒
会見する日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士(右)

労働弁護団、「憲法改悪に反対」初の声明 発議・国民投票を警戒

日本労働弁護団(幹事長=棗一郎弁護士)は10月25日、「安倍政権による憲法改悪に反対する声明」を出した。同日、東京・霞が関の厚労省で会見し明らかにした。現在の名称に変更された1989年以降、こうした声明を出すのは初めてという。「日本のすべての労働組合と労働者に対し、憲法改悪を阻止する運動に立ち上がることを呼びかける」とした。

●自民党、憲法改正案「単独提示へ」と報道

報道によると、自民党は今回の臨時国会(10月24日召集、12月10日までが会期)において、衆参両院の憲法審査会に憲法改正案を単独で提示し、各党による協議を始めることを目指している(読売新聞、10月5日)。あわせて改正案は、4項目(自衛隊の根拠規定の明記や緊急事態対応、参院選の合区解消、教育の充実)であることも報じられている。

労働弁護団は、こうした改憲4項目を自民党が単独提案し、賛成する野党も含めた審議が進んで、参院選(来年7月)前の憲法改正発議や国民投票へつながることを警戒している。

●様々な職場で人権侵害の恐れと労働弁護団

労働弁護団は声明で、自民党内閣が歴代踏襲してきた憲法解釈を安倍政権が閣議決定で2014年に一部変更したことや、2015年の安保法案の強行採決などを挙げ、「国民の承認を得ない一方的な解釈改憲は国民主権を踏みにじる暴挙だった。このような安倍政権にそもそも憲法改正を提案する資格などない」と断じた。

さらに、自民党がねらう改憲が実現すれば、集団的自衛権の行使が違憲ではないことが憲法上明確になり、「専守防衛」「非核三原則」などの変更につながって、日本が「戦争をする国」への道を突き進むことになると指摘。今泉義竜弁護士は会見で「自衛隊員の人権が脅かされ、様々な職場で労働者の人権侵害が起こってくるだろうというのも問題」と述べた。

労働弁護団では、12月10日の会期末で臨時国会は閉会せず、会期延長は間違いないとみている。延長を見据えて労働弁護団は12月14日午後6時半から、中央大学駿河台記念館(東京都千代田区)で、「安倍政権による憲法改悪に反対する集会」を開く予定にしている。各産業の労働組合などを呼び、大規模なものにする考えだという。

(弁護士ドットコムニュース)

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