職場に「妊娠」した女性がいたらーー雇用主にはどんな「配慮」が求められるのか?
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職場に「妊娠」した女性がいたらーー雇用主にはどんな「配慮」が求められるのか?

妊娠中の同僚を批判したら、店長にキレられた――。アルバイト先の職場で、妊娠した女性と働いた体験をつづった、ある男性のネット掲示板の書き込みが議論を呼んだ。

投稿者によると、投稿者と妊娠中のパート社員・Aさん、そしてもう1人の女性バイトの3人体制で仕事を回していた。Aさんは体調が安定しないため、1時間ごとに20分ほど休憩を取っているという。その間は2人で仕事をまわさなければならず、投稿者は「割に合わない」と不満に思っていたそうだ。

不満が募った投稿者がAさんを「バイトに出ないで欲しい」とせめると、店長から「マタハラだ!」と怒られたため、つい「辞めます!」と言ってしまったという。掲示板では、妊婦を批判した投稿者を非難する声もあったが、「流産したら、どうするんだ?」と店側の対応を疑問視する声もあがっていた。

職場に妊娠している女性がいる場合、雇用主にはどんな対応が求められるのだろうか。女性の権利問題にくわしい高木由美子弁護士に聞いた。

●医師の指導に従い、休憩時間を与えなければならない

「雇用主は、妊娠中の女性労働者が、医師から指導された事柄を守ることができるよう、必要な措置を講じる義務があります(男女雇用機会均等法13条)」

高木弁護士はこのように述べる。

「妊娠中の女性労働者が医師の指導で休憩をとる必要がある場合、雇用主は、それを認める必要があります。

医師から明確な指導を得ていなかった場合でも、雇用主が、その仕事内容などをふまえ、医師に確認して、女性の休憩を認める措置をとらなければなりません。

ですから、『1時間ごとに20分も休憩をとっても良いのか』という問題ではなく、そもそも雇用主は、医師が必要と判断する休憩を、妊娠中の女性従業員に与える義務があるのです」

●妊娠を理由にした解雇は「無効」

投稿者は、休憩時間を多くとられるのは迷惑だから「(バイトに)出ないでほしい」と考えているようだ。

「妊娠を理由とした解雇は、禁止されています(同法9条2項)。妊娠を原因とした体調不良を理由としても、解雇はできません。

本件で、もし雇用主がAさんを解雇した場合は、明らかに『マタハラ』にあたり、その解雇は無効です。

立ち仕事を含む肉体労働が必要な職場で、配置転換ができない職種の場合も、同様です。雇用主は、医師に確認しながら、労働者が仕事と妊婦生活を両立できるように、休憩を多めに設定するなどの配慮しなければなりません」

他の従業員の負担が増えるという点は、どう考えればよいだろう。

「妊婦の稼働時間が短くなることで、ほかの従業員が長時間労働など過労の状態になった場合、今度は、その労働者に対する雇用主の安全配慮義務違反になってしまいます。

ですので、妊婦従業員の稼働時間が短くなる場合は、ほかの従業員の負担も考慮する必要があります。新しいアルバイトを雇うなど、適切な人員配置をしなければなりません」

高木弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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