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依頼者・相手方からの暴言暴力、どう防ぐ? 弁護士に求められる「見極め力」と「断わり力」
画像はイメージです(タカス / PIXTA)

依頼者・相手方からの暴言暴力、どう防ぐ? 弁護士に求められる「見極め力」と「断わり力」

接客業でもある弁護士は、相談者・依頼者からのカスハラ被害も珍しくない職業だ。被害を未然に防ぐため、弁護士たちはどういう自衛策をとっているのだろうか。

弁護士ドットコムが2023年3月に実施した会員弁護士100人アンケートでは、受任に当たっての見極めや「報連相」の徹底といった基本姿勢から、事務所に防犯グッズを置くといった、暴力に対する具体的な対策までさまざまな意見が寄せられた。

●受任前後の見極めや説明が大切

この会員アンケートでは、回答した弁護士の約4割にカスハラ被害の経験があった。対策としては、相談段階での見極めを説く声が大きかった。

「クレーマーやトラブル要因のある依頼者、相手方の案件は絶対に受けない」
「受任段階でコントロールできるか、パーソナリティに問題があるかを最優先の必須の基準として厳格に面談する。少しでもパーソナリティに引っかかるところがあれば、案件の内容がどんなに筋が良さそうにみえても絶対に受任しない」
「弁護士に依頼することですべて自分の思い通りの結論が得られると考えている節のあるかたは、『私ではそのような結果を出す方法が思いつきません』と伝え受任を回避する」

受任時の注意として、以下のような具体的なアドバイスもあった。

「事件の進展に応じて、報酬を分割して支払ってもらうようにし、依頼者に不審な態度が現れた段階で、委任契約を終了するようにしている」
「方針については最初にメールで説明する。契約書の特約のところにリスクについて説明を書いておくなど」
「なるべく事前に説明し、予想しうるトラブルがあれば『弁護士にできないこと』の説明を書面でおこない、できれば委任契約書の特約事項に具体的に書いておく。大事な場面ではこまめに意向確認書を作り署名捺印をもらう。

委任契約書にはデフォルト記載として事務所の営業時間を書いておき『この時間帯しか基本的に対応できません』と説明するなど、心掛けています」

●依頼者との情報共有が大切

実際に受任してからは、報連相の徹底や距離感を大切にしているという弁護士が多かった。

「依頼者に対しては報連相の徹底と気持ちに寄り添う一言を忘れない」
「よく打合せをする、連絡は怠らない 予防線を張っておく」
「丁寧な言葉づかいをする。ただし、できないことはできないと言う」
「依頼者との距離、連絡方法を注意する。常に弁護士バッジをつけ、スーツを着る。男性弁護士との共同受任と役割分担」
「十分な説明と判断に悩む場合には本人に選ばせる」

●入口の施錠や電話の録音

暴言や暴力への備えをしている弁護士も多い。

「事務所入口は、来客予定時間以外は基本的に施錠している」
「ドアロック。二人体制での対応。警察の巡回、防犯カメラ設置など」
「防犯グッズ(レニーガードとスプレー)を事務所に置いている」
「事務所の電話に電話番号の表示機能をつけている。ワンプッシュで電話を録音できる機種にしている」
「自動的に全件録音する電話機を使用している」

相談者・依頼者(カスタマー)だけでなく、相手方からの業務妨害も弁護士の悩みどころ。「必要以上に相手方を刺激する書面はつくらない」といった意見もあった。

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