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看護職員、厳しい労働実態 目立つ「16時間以上の夜勤」…医労連調査
会見する医労連のメンバーら(11月11日、東京都内、弁護士ドットコム撮影)

看護職員、厳しい労働実態 目立つ「16時間以上の夜勤」…医労連調査

日本医療労働組合連合会(医労連)は11月11日、「2019年度夜勤実態調査」を発表し、日勤・夜勤の「2交替制」のシフトを採用している病棟の5割超で、看護職員が「16時間以上の長時間夜勤」となっているなどの実態を明らかにした。

厚労省記者クラブで記者会見した医労連の森田しのぶ中央執行委員長は、「政府は働き方改革を推進しているが、医療現場で働く看護職員も一人の労働者として、人間らしい働き方をしたい」と述べ、長時間労働・夜勤を規制し、看護職員の労働環境を改善するよう訴えた。

●「2交替」病棟の割合はこの20年で約6倍に増加し、過去最多

調査は医労連に加盟する組合などを通じて、全国の医療機関で24時間交代制勤務を行なっている医療機関を対象に調査票を送り、383施設が回答した。

8時間以上の長時間労働となる「2交替」病棟の割合は、39.3%となり、過去最多となった。そのうち54.4%の病棟が、1回の夜勤で16時間以上働く2交替制のシフトを取っていた。

調査は毎年実施しており、2交替制のシフトを取り入れる病棟の割合はこの20年で約6倍に増加している。

●2交替制の増加は「労働環境の改善にはなっていない」

2交替制が増加する理由について、医労連の松田加寿美さんは「(日勤・夜勤・準夜勤などの)3交替制では、勤務と勤務の間の時間が極端に短くなることがあり、(1回の労働時間は短くても)厳しい働き方になるという実態がある」と指摘。また、交通手段が限られる深夜の引き継ぎ等が病院の経営を圧迫するなどの事情もあるという。

一方で、1回の労働時間が長くなる2交替制が増加している現状について、松田さんは「労働環境の改善にはなっていない」とし、「夜勤そのものは避けられないが、『1日の所定内労働時間は8時間以内(にすべき)』は、労働組合として絶対にゆずれない」と言う。

医労連は、労働時間の上限規制、勤務間インターバルの確保、夜勤交替制労働者の週労働時間短縮、看護師の増員などを求めていくという。

長時間夜勤は、健康リスクだけでなく、安全面においてもリスクがあると指摘されており、松田さんは「患者のいのちや健康を扱っている看護職員の仕事において、それらのリスクが高まることがあってはならない」と訴えた。

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