「デジタルデバイド(情報格差)」について、弁護士ドットコムニュースが読者から体験談を募集したところ、多くの声が寄せられた。
中でも目立ったのが、コロナ禍を経て急速に普及した飲食店のQRコード注文や、スーパーのセルフレジをめぐる戸惑いや不安だ。
「便利になった」という人がいる一方で、デジタル化についていけない、むしろ以前より不便になったと感じる人もいる。寄せられた体験談の一部を紹介する。
●「店の仕事を客にさせて1円も安くならない」
スーパーや飲食店で広がるセルフレジ。店側にとって省人化や業務効率化につながる一方で「利用者側にメリットがない」と不満を抱く声が寄せられた。
「セルフ給油が普及したのは『セルフは安い』と言うメリットがあるからだと思います。店舗側が本来やるべき業務を客にさせておいて、1円も安くならないと言うのは、顧客満足度ゼロですね。 店側の狙いである『人件費削減』を顧客側にすべてやらせているだけ。レジ待ちが短くなるのがメリットと言うなら、有人の『レジの台数を増やす』のが本筋ではないでしょうか」(静岡県・60代男性)
店舗ごとに機械や操作方法が違うことを負担に感じる人もいる。
「店舗により端末が違うため、操作方法が異なります。いちいちタップするので、口頭での現金のやり取りの方が早い気がします。何で客がタブレット端末を何度もタップしなきゃいけないのか?」(神奈川県・60代男性)
さらに、操作に戸惑った際の店員の対応に不満を感じたという声もあった。
「店員は顧客に配慮するどころか『わかんねえのかよ?』的な横柄な態度が目立つ」(堺市南区・60代男性)
●QR注文の「落とし穴」 電波が入らない、クーポンも使えず
自身のスマートフォンでQRコードを読み取って注文する方式についても、不満は少なくない。
そもそも通信環境が悪ければ、注文したくてもできない。
「お店のQRコード注文、電波が入らない店なのにQRでお願いしますと言われても、注文ができません。ネット環境を整えてからにしていただきたい」(地域・年代・性別不明)
店舗や通信会社によって電波状況が異なるため、アプリやクーポンを使うだけでも一苦労だという体験談も寄せられた。
「ある携帯会社だけ店内でつながりにくく、クーポンが含まれるアプリがつながるまで外に出たり、レジ待ちの人がイライラする状態が増え、不便を感じています。携帯を持たないご年配の方はクーポンが使えずに、不公平を常に感じています」(埼玉県・60代女性)
便利さやお得さを前提にした仕組みが、スマホを持っていなかったり、うまく使えなかったりする人にとっては、かえって「壁」になっているようだ。
●会計トラブルで「大渋滞が発生」 失われる人との会話
デジタル機器ならではの操作ミスや、システム上のトラブルに巻き込まれたというエピソードもあった。
「タブレット端末で注文し、クレジットカードで支払ったところ、注文していないメニューが含まれていた。直前の利用客が支払わずに退店した分が含まれていたと思料する」(北海道・50代男性)
操作に慣れないことで、かえって時間がかかってしまうという声もある。
「デジタルの失敗は同じのを2度押してラーメンが数個きたり、会計時に操作を理解できず大渋滞を発生させたりする。あと数年はデジタル化が進むかもしれないが、私たちの年代はついていけない。現金最優先です」(新潟市・70代男性)
そして寄せられた声から浮かび上がったのは、単なる「使いやすさ」の問題だけではない。
「会話のキャッチボールが減っている」(大阪市・40代女性)
「コミュニケーション不足になり、言葉の大切さも失われている感じがする。必要悪かなぁ」(北海道江別市・70歳女性)
便利さを十分に享受できていない人がいるだけでなく、これまで当たり前にあった店員とのやり取りまで失われつつあることを憂う声も目立った。