小さな子どももいるのに、夫が女子学生と不倫し、しかも同棲まで始めてしまったーー。妻から「慰謝料請求はできるのでしょうか」と、悲痛な相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
相談者によれば、夫の不倫相手は、成人した学生。9カ月前から同棲を始めたため、相談者とは別居状態にあるそうです。慰謝料請求を考えているものの、学生相手では支払い能力はないと考えられ、どうすれば良いか悩んでいます。
こうした場合、学生本人ではなく、その家族に慰謝料請求をすることはできるのでしょうか。また、学生の卒業後、資力ができてから差し押さえをすることは可能なのでしょうか。萱垣建弁護士に聞きました。
●支払い能力に関係なく、請求はできる
ーー不倫相手は支払い能力がなさそうな学生です。この場合、慰謝料は請求できないのでしょうか
「いえ、請求はできます。不倫の慰謝料請求ができるかどうかは、不倫相手に支払い能力があるかないかとは関係ありません。学生で支払い能力に問題があっても、慰謝料請求はできます。もちろん裁判も可能です」
ーー現実問題として、相手に現金がないことも考えられます
「裁判で勝訴判決を得て、かつ、預金口座も分かっていたとしても、お金がないのですから、実際に回収することは困難でしょう。
しかし、判決が確定(判決を受け取ってから2週間の経過後)してから10年間は時効にかかりません。その間に不倫相手が会社に入社したりして支払い能力ができれば、預金口座や給料などを差し押さえることは可能です」
ーーその時間を待てない場合には、相手の家族に支払ってもらえないのでしょうか
「学生とはいえ成人していますから、法的には、家族は関係ありません。つまり家族に慰謝料を請求することはできません。
ただ、家族に法的な支払義務はないことを踏まえたうえで、話してみることは常識はずれとも言えないでしょう。世間体、家族に対する愛情などから、代わりに支払ってくれるかもしれません。但し、くれぐれも強制口調にならないように注意してください」
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