ブロガーで作家のはあちゅうさんが7月15日、人気セクシー男優のしみけんさんとの結婚をネットで発表しました。はあちゅうさんのツイートによると、2人は事実婚で手続きを行ったそうです。
その手続きとは、「区役所で職員さんがお互いの本籍地に電話して、独身であるかどうかを確認し、確認後、住民票の続柄に妻(未届)という記載をつけてくれました&保険証の世帯主氏名に彼の名前が入りました。証明書とかは特にないみたいです。」とはあちゅうさん自身が説明しています。
聞きなれない「事実婚の手続き」。一体、どのようなものなのでしょうか?
●住民票の「続柄」に「妻(未届)」と記載してもらう
一般的に、結婚を決めたカップルが婚姻届を出して成立する婚姻を法律婚と呼びます。一方、婚姻届を出していないものの、カップルが夫婦同然に暮らしていることを事実婚といいます。事実婚をオープンにしているカップルは、選択的に婚姻届を提出していないという人が多いです。近年では、婚姻の際に夫婦同姓になることを敬遠、自分の姓を名乗るために事実婚を選ぶカップルもいます。
しかし、法律婚では戸籍に婚姻していることが記されますが、事実婚ではできません。そこで、よく利用されるのが住民票です。役所で手続きをすれば、同じ世帯の住民票に世帯主との「続柄」を「夫(未届)」あるいは「妻(未届)」と記載することができます。この場合、重婚をしていないか、離婚していても再婚禁止期間(待婚期間)ではないかなど、役所で2人の本籍を確認した上での記載になります。はあちゅうさんもツイートしていたように、「妻(未届)」と記載するには、しみけんさんを世帯主とすれば可能です。
では、どうして事実婚であっても、手続きをする人がいるのでしょうか。法律婚と事実婚では相続や配偶者控除などで大きな違いがありますが、近年では事実婚でも健康保険の被扶養者や遺族年金の受取人、会社の家族手当などが認められるつつあります。そこで、法律婚ではないけれども、結婚している証明の一手段として、戸籍ではなく住民票が使われることがあるようです。
これ以外にも、事実婚に関する手続きは、その目的によってさまざまです。たとえば、事実婚の場合、夫あるいは妻が先に亡くなっても、パートナーの財産を相続できる法定相続人とは認められませんので、あらかじめ遺言が必要になります。また、事実婚夫婦に子どもができた場合、「非嫡出子」として扱われ、母親の戸籍に入ります。父親との法的な親子関係はないため、あらためて認知が必要となります。
家事事件に詳しい髙橋裕樹弁護士は、「事実婚では相続、配偶者控除の権利・利益がないだけでなく、お互いが生きている間の扶養義務や、後見の申し立てなどができないこともデメリットだと思います」と話しています。
事実婚はメリットも多いですが、法律婚では当たり前のことができないデメリットもまだ多いです。よく考えた上で、選ぶ必要があるでしょう。
【監修・取材協力】
髙橋 裕樹(たかはし・ゆうき)弁護士
無罪判決多数獲得の戦う弁護士。依頼者の立場に立って、徹底的に親切に、誰よりも親切でスピーディな、最高品質の法的サービスの提供をお約束! でも休日は魚と戦う釣りバカ弁護士!
事務所名 :アトム市川船橋法律事務所
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