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「左遷してやる」不倫の終わりを告げたら、上司が脅迫…泥沼の社内不倫の末路
画像はイメージです(mits/PIXTA)

「左遷してやる」不倫の終わりを告げたら、上司が脅迫…泥沼の社内不倫の末路

上司と不倫していた女性が、別れを切り出したところ「左遷してやる」とすごんできた。そんな相談が弁護士ドットコムの法律相談に複数、寄せられています。いくつかの事例をもとに、典型的な展開をご紹介しますーー。

アラフォーのある女性は、営業職として日々、多忙な毎日を送っていました。心身ともに疲弊する中、出張先で、つい職場の上司と肉体関係を持ってしまいます。上司には配偶者がいることは知っており、「不倫」とわかって始めた関係でした。

そのまま数カ月の間、出張先などで逢瀬を重ねるように。相手に対しては「仕事ができる人」という好感は抱いていましたが、当初から異性としての魅力は感じていませんでした。そこで泥沼にハマる前に別れようと上司に切り出します。

すると上司は「左遷してやる」「関係を終わらせるなんて認めない」などと、職場の地位を脅かし、関係を無理矢理続けようとしてきたのです。女性は「これって脅迫とかの犯罪ではないんですか?」と不安がっています。

このように、脅迫によって社内不倫を続けさせられていた場合、上司の行為は犯罪に当たるのでしょうか。河内良弁護士に聞きました。

(相談内容は、弁護士ドットコムの法律相談に寄せられた質問をもとに編集部で創作しています)

●「脅迫」「強要」に該当する可能性

別れを切り出したら「左遷してやる」と脅してきた場合、刑事上の問題になる可能性はあるのでしょうか。

「該当する可能性がある犯罪としては、仮にこのまま関係に応じさせられた場合には、脅迫して性交に応じさせていることから『強制性交等罪』(刑法177 条)が考えられます。

しかし、強制性交等罪における『脅迫』とは、『被害者の反抗を著しく困難にする程度』である必要があります。今回のケースでは、会社内の地位を脅かす程度の脅迫にとどまっており、強制性交等罪における『脅迫』に該当すると見ることは難しそうです。

もっとも、職場内での地位を脅かす発言は、相談者の名誉に対して害を加えることを告げているとみることもでき、脅迫(刑法222条)や強要(刑法223条)に該当する可能性があります。また、関係を継続させようとして執拗に要求し続けると、その態様によってはストーカー規制法にも抵触する可能性がある行為です」

●「告訴する」と警告してもらう方法も

上司に対して、法的にどのような措置をとることができるのでしょうか。

「警察への告訴や損害賠償請求訴訟の提起がまず考えられるでしょう。さらに、2人は同じ職場に勤務しているそうですから、会社内で対処する選択肢もあります。

勤務先がある程度大きな会社であれば、セクハラ相談室のような社内コンプライアンス部門への相談などにより、情報を把握してもらったうえで、弁護士を通じ『関係の継続を強要するようなら告訴する』と警告してもらう方法も検討できます」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

河内 良
河内 良(かわち りょう)弁護士 河内良法律事務所
大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。

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