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浮気夫「EDだから不貞行為はない」愛人宅に入り浸り…悩める妻は離婚できる?
画像はイメージです(irohana / PIXTA)

浮気夫「EDだから不貞行為はない」愛人宅に入り浸り…悩める妻は離婚できる?

ED(勃起不全)の夫がたびたび、ほかの女性の家に泊まっている・・・。そんな悩みが弁護士ドットコムの法律相談コーナーに複数寄せられています。

ある相談者は、夫から「EDだから不貞行為ではない」と言われたそうです。別の相談者によると、夫は「プラトニックラブ」で燃え上がっており、毎週のように隠れて、別の女性とデートしていたそうです。

夫が性交渉していなくても、ほかの女性とデートしたり、家に泊まったりしているのであれば、妻としては気分のよいものではありません。こういう場合、「不貞行為」という離婚理由にあたらないのでしょうか。小澤和彦弁護士に聞きました。

●「性交渉」していなければ「不貞行為」にあたらないが・・・

――EDで性交渉をしていなければ「不貞行為」にあたらないのでしょうか?

「不貞行為」というのは、婚姻している人が、配偶者以外の第三者と性交渉することです。EDで性行為をしていなければ、「不貞行為」にあたらないということになります。

ただ、勘違いしている人が少なくないようですが、「不貞行為」をしていなければ、離婚理由にならないということにはなりません。「婚姻生活を継続しがたい理由」があれば離婚理由はあると判断されます。

たとえば、夫が性交渉をしていなくても、ほかの女性とデートしたり、家に泊まったりしているのであれば、そもそも、婚姻生活を継続するなんて不可能です。したがって、離婚理由はあるということになります。

――損害賠償(慰謝料)の請求にも影響がありますか?

損害賠償(慰謝料)請求についても同じことが言えます。婚姻している人が配偶者以外の第三者と性交渉をすれば、その行為自体が、共同不法行為となり、配偶者に対して、損害賠償義務を負うことになります。慰謝料(配偶者がこうむった精神的苦痛を慰謝するためのお金)を支払わなければなりません。

ただし、性交渉に至らない場合であっても、ほかの女性とデートしたり、家に泊まったりしているのであれば、配偶者は精神的苦痛をこうむります。その苦痛の程度は、性交渉があった場合とで、多少は違うのかもしれませんが、まったく不法行為にならないということにはなりません。

●一定程度の継続性があって、初めて違法性が生じてくる

――キスや抱擁、性的類似行為をしていた場合や、隠れデートのような場合はどうでしょうか?

先ほど述べたとおりです。キスや抱擁、性的類似行為であっても、もちろんのこと、単に隠れデートのような場合であっても、離婚理由にもなり、不法行為にもなります。

ただし、いずれについても、たった一度っきりだったなどの場合には、それのみで、離婚や慰謝料を請求するというのは難しいと思います。やはり、一定程度の継続性があって、初めて違法性が生じてくると考えられます。

――性交渉したかどうかは関係ないということでしょうか?

たとえば、夫がほかの女性に対して、片思いであっても、何もしていなくても、朝から晩まで、その女性の写真を見つめてため息ばかりついているとします。そんな夫と夫婦関係を続けるのは実際無理ですよね。性交渉というのは、1つのわかりやすいボーダーラインなだけで、離婚理由を考えるときは本質を考えないとダメです。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

小澤 和彦
小澤 和彦(おざわ かずひこ)弁護士 弁護士法人東京多摩法律事務所
第二東京弁護士会多摩支部 両性の平等委員会委員、東京都西東京市男女平等参画推進委員会副委員長。

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